症状から腰痛の原因を探る - 「かぜに似た症状・全身症状」
風邪(かぜ)のような症状を生じる病気・障害
腰痛を引き起こす病気や障害の中には、以下のような「かぜに似た症状」も伴うものがあります。自分の症例に当てはまるものを探して原因を探ってみましょう。
- 熱が出る、寒気がする、冷や汗、ふるえ
- 頭痛、めまい、吐き気・嘔吐
- 全身がだるい(倦怠感)、疲れやすい、食欲がない、体重が減る
※文中の「病名」を選択すると、詳しい解説ページに移動します。
現れる症状や程度には個人差がありますので、あくまで参考とするに留めてください。
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◆化膿性脊椎炎
脊椎(背骨)に細菌が侵入して炎症を起こし膿(うみ)がたまる病気
【主な症状・特徴】
- 腰や背中の突然の激痛
- 動かず安静にしていても痛み、患部をたたくと非常に痛む
- 寒けがして熱が出ることも
- 病気などで化膿した部分の細菌が血管を通じて感染する
- 膀胱炎などの泌尿器や生殖器系の病気で生じた炎症が血管を通じて広がる
◆脊椎カリエス(結核性脊椎炎)
結核の原因となる結核菌が脊椎に感染して炎症を起こす病気
【主な症状・特徴】
- 腰や背中の中心に鈍い痛みやコリがあり、患部を押したり叩いた時にも痛む
- 体がだるく疲れやすい、食欲がなく体重が減る
- 発熱、安静時の痛み
- 排尿障害(尿がでにくい、尿がもれる(失禁)、回数が増える(頻尿))
- 結核菌の感染(周囲の結核患者や過去に感染した結核の残存菌から感染)
◆脊髄腫瘍・脊椎腫瘍
脊髄(中枢神経)や脊椎(背骨)にできる、良性または悪性の腫瘍
【主な症状・特徴】
- 腰や背中に鈍い痛みがしつこく長く続く
- 動かず安静にしていても痛み、患部を押したり叩いた時にも痛む
- 突然の激しい痛み、めまいや頭痛、手足のしびれやマヒ
- 尿が出にくい、尿がもれる(失禁)、おしっこの回数が増える(頻尿)、便秘など
- 悪性腫瘍(がん)の場合、他の臓器からの転移がほとんど。
◆リウマチ性多発筋痛症
ウイルスや細菌などの外敵から体を守る"免疫システム"に異常が発生する病気「膠原病」の一種
【主な症状・特徴・原因】
- 首から肩、あるいは腰などに強い痛みと"こわばり"がある
- 関節の痛み、全身のだるさ、体重減少、食欲低下、微熱など
- ほとんどは50代〜60代以上の高齢者に発症する原因不明の病気
◆腹部大動脈瘤
腹部の大動脈の一部がふくらんで瘤(こぶ)のようになる病気
【主な症状・特徴】
- 腰から背中にかけての痛み
- 50〜60歳前後の中高年の男性に多い
- 腹痛や腹部のしこり、咳(せき)、息切れ、しわがれ声、物が飲みにくい、顔がむくむ
- 大半は動脈硬化が元で起こる。動脈硬化の主な原因は、高いコレステロール値や中性脂肪値、糖尿病、高血圧、高脂血症、運動不足、ストレス、肥満、喫煙、加齢など
◆胃がん
胃に発生する悪性腫瘍
【主な症状・特徴】
- 空腹時や食後の腹痛(みぞおちあたりが鈍く痛む)。悪化すると食事に関係なく痛む
- お腹の張り、胃もたれ、胸焼け、ゲップ、吐き気
- 50〜60歳代が患者の約60%を占め、高齢者ほど発症しやすい。
- 胸、背中、腰の痛み
- 食欲不振、だるさ、下痢、便秘、貧血、吐血、黒い便など
- 不規則な食生活、早食い、食べ過ぎ、「塩分や脂肪分・熱すぎる飲食物・米飯等」の摂り過ぎ、焦げた食物、過度の飲酒・喫煙などが危険因子とされる
◆肝臓がん
肝臓に発生する悪性腫瘍
【主な症状・特徴】
- お腹の右上の痛みやしこり
- 背中や腰の右側の痛み
- 疲れやだるさ、食欲不振、お腹が張って大きく膨らむ(腹水)、眼や皮膚が黄色っぽくくすむ(黄疸)
- 肝炎(肝臓の炎症)の長期化→肝硬変→肝臓がんと症状が悪化して発症する「原発性肝がん」と、他の臓器にできたがんが転移した「転位線肝がん」がある。
◆膵炎(すいえん)
膵臓から分泌される消化酵素によって膵臓自体が消化されて炎症を起こす病気
【主な症状・特徴】
- みぞおちから左わき腹にかけての急な激痛。左肩や左背中まで響くことが多く、時には胸や腰にまで及ぶ。
痛みは食事をすると強まり、絶食すると軽くなる。また前かがみになると和らぐ傾向がある
- お腹の張りやしこり、発熱、胸焼け、吐き気、下痢、黄疸など
- アルコールや胆石が原因のものが全体の約2/3を占める。体調が悪い時のお酒や脂肪の多い食事のとりすぎがきっかけで起こる
◆膵臓(すいぞう)がん
膵臓にできる悪性腫瘍
【主な症状・特徴】
- みぞおちから左わき腹にかけての痛み
- 高齢者ほど多く発症する
- 背中や腰の痛み、吐き気・嘔吐、下痢・便秘、黄疸
- 詳しい原因は不明。飲酒・喫煙の習慣、肉(脂肪)の食べ過ぎ、慢性膵炎、胆石症、糖尿病などが危険因子と考えられる
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◆胆嚢炎(たんのうえん)
胆嚢が細菌に感染して炎症を起こした状態
【主な症状・特徴】
- 食事後の"みぞおち"から右わき腹にかけての急な激痛。痛みは右肩や右背中まで響くことが多く、時には胸や腰にまで及ぶ
- 38℃以上の高熱、寒気、吐き気、嘔吐
- 主に胆嚢内に石(胆石)ができて細菌が増殖して起こる。石は、食べ過ぎ、脂肪の摂り過ぎ、肥満、ストレス、不摂生、体質などが原因でできることが多い
◆胆石症(たんせきしょう)
胆のうや胆管内に石(胆石)ができる病気
【主な症状・特徴】
- 食事後の"みぞおち"から右わき腹にかけての急な激痛。痛みは右肩や右背中まで響くことが多く、時には胸や腰にまで及ぶ
- お腹の張り、発熱、吐き気、疲れやだるさ、眼や皮膚が黄色っぽくくすんだり濃い茶色の尿が出る(黄疸)、白い便など
- 食べ過ぎ、脂肪の摂り過ぎ、肥満、ストレス、不摂生、体質などが原因でできる事が多い
◆尿路結石(腎結石・尿管結石・膀胱結石・尿道結石)
尿の通り道に石(結石)ができる病気
【主な症状・特徴】
- 背中からわき腹にかけての激しい痛み(鈍い痛みだけのこともある)
- 冷や汗、吐き気、嘔吐
- 尿の異常(血尿が出る、尿の回数が増える、排尿時の痛み、尿が出にくい、残尿感など)
- 男性の発症率が高く、30〜50歳代に多い
- 尿路の異常などで尿の流れが悪くなったり、水分不足などで尿のカルシウムの濃度が高まると石ができやすくなる
◆腎盂腎炎(じんうじんえん)
腎臓が細菌に感染して炎症を起こした状態
【主な症状・特徴】
- わき腹や腰の鈍い痛み
- おしっこの回数が増えたり(頻尿)、排尿痛や残尿感がある
- 高熱、悪寒、ふるえ、だるさなど、かぜによく似た症状がでる
- 膀胱内の尿が腎臓に逆流して細菌感染する(膀胱炎、尿道の結石、前立腺肥大、尿道狭窄などの病気で逆流しやすい)
◆腎周囲炎
腎臓やその周りの組織が細菌に感染し、炎症を起こして腫れ上がる病気
【主な症状・特徴】
- 腎臓付近(わき腹あたり)の強い痛み ・発熱
- 腎盂腎炎など、腎臓の細菌感染が見られる病気の影響。細菌で化膿した部位から膿が血液に混じって運ばれてくる場合もある
◆腎梗塞(じんこうそく)
腎臓の動脈がふさがって血液が流れなくなり、腎臓の一部または全部が壊死してしまう病気
【主な症状・特徴】
- 腰から背中にかけての痛み
- 血尿が出たり、尿の量が減る
- 心臓の病気や不整脈によってできた血栓(血の塊)が腎動脈につまる。動脈硬化も危険因子
◆腎静脈血栓症
腎臓の静脈に血の塊(血栓)ができて血液の流れが悪くなったり血管が詰まってしまう病気
【主な症状・特徴】
- 尿の異常(尿の量が少ない、全く出ない、血尿やたんぱく尿など)
- 腰や背中の痛み、発熱
- 血液が固まりやすくなる「ネフローゼ症候群」、血液の病気、病気による血管の障害、動脈硬化など
◆腎下垂(遊走腎)
腎臓が本来あるべき場所よりも下に移動してしまっている状態
【主な症状・特徴】
- 腰やわき腹の鈍い痛み(横になると和らぐ)
- 胃のむかつき、食欲不振、吐き気
- 尿の異常(血尿やたんぱく尿がでる、尿があまり出ない、出にくい)
- 腎臓の周りの脂肪が少ない、腎臓につながる尿管や血管が生まれつき異常に長い、腹筋・背筋が弱い(やせた女性に多く見られる)など
◆月経痛(生理痛)・月経困難症・月経前症候群
月経時に起こる様々な不快症状
【主な症状・特徴】
- 頭痛、腹痛(胃痛)、腰痛、肩こり、乳房の張りと痛み
- むくみ、冷え、めまい、のぼせ、貧血、吐き気、嘔吐、便秘、下痢
- イライラ、憂うつ、焦燥感、怒りっぽい、集中力の低下(注意力散慢)、情緒不安定
- 月経(生理)が始まって女性ホルモンの分泌が増えたりホルモンバランスが変化するため。更に疲れやストレスが重なると症状が悪化する
◆子宮内膜症
子宮の内側にできる膜「子宮内膜」が、子宮以外の場所にもできる病気
【主な症状・特徴】
- とても強い月経痛(生理痛)、激しい腹痛と腰痛
- 30〜40歳代の女性に多くみられる
- 月経時の出血が増える(過多月経)、月経期間が長くなる、茶色のおりものが出る、性交時や排尿・排便時の痛み、尿が出にくい、便秘
- 詳しい原因は不明。月経時に子宮内膜の組織が混じった血が逆流するためと考えられる
◆子宮がん(子宮頸がん・子宮体がん)
子宮にできる悪性腫瘍(がん)
【主な症状・特徴】
- 月経期間外の性器からの出血(不正出血)
- おりものの異常(量が増える、臭う、血が混じるなど)
- セックス中の性器からの出血 ・貧血
- 腹痛、腰痛、足の痛み、発熱、おしっこの回数が増える、尿が出にくい
- 子宮頸がんはウイルス感染によるものが多く、子宮体がんは女性ホルモン「エストロゲン」が長期間分泌されると発症しやすい
◆更年期障害
50歳前後で月経が終わる「更年期」を迎えると、女性ホルモンの変化で心身につらい症状がでる
【主な症状・特徴】
- 頭痛、めまい、耳鳴り、肩こり、腰痛、動悸、肌荒れ、肌のほてり、むくみ、のぼせ、発汗、手足の冷え
- イライラ、気分の落ち込み、不安感、不眠、蟻走感
- 生理がこない、生理が遅れる、生理周期が不安定になるなどの「月経異常(月経不順)」
- 月経の終わる「閉経」を迎えた50歳前後の女性に起こるが、疲れやストレスによって20〜30歳代の若い女性にも見られる(若年性更年期障害)
- 閉経後の更年期(50歳前後)の女性ホルモンの減少
関連項目
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