胆嚢炎で腰が痛むケース

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『胆嚢炎』の詳細 - 症状・原因・治療法

腰痛を引き起こす可能性のある病気や障害の一つに「胆嚢炎(たんのうえん)」があります。
ここでは、その特徴や腰痛との関連について解説します。

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1.胆嚢炎が疑われる症状

腰の痛みのほかに、以下の様な症状・特徴が見られる場合、胆嚢炎が発症している可能性があります。

痛む箇所
胆嚢炎によって痛む部位

  • みぞおちから右わき腹上部にかけての激痛
    (痛みは右の背中や肩にかけて広がりやすい)
  • 高熱が出る、吐き気・嘔吐など
  • 眼球や肌が黄色っぽくくすんだり、濃い黄色の尿が出る(黄疸)

胆嚢炎は急に症状が発生する「急性胆嚢炎」が多く、 最も特徴的な症状は、発作的に起こるみぞおちから右脇腹にかけての痛みです。激しい痛みが長く続きます。
痛みは右肩や右背中まで響くことが多く、時には胸や腰にまで及びます。

食事の2〜4時間後から痛み始め、多くの場合38度以上の高熱や寒気、吐き気、嘔吐などを伴います。そのほか黄疸が現れたり、黄色い液を吐いたりすることもあります。腹部全体が固くなっている場合は、胆嚢が破れて腹膜炎を起こしている可能性があります。

◆慢性胆嚢炎の症状

慢性的な胆嚢炎の場合、急性胆嚢炎よりも全体的に症状が軽い傾向があります。
腹部の鈍い痛みや不快感、吐き気、慢性的な消化不良などが見られます。特に脂肪の多いものを食べた後に、何となくお腹の具合がおかしく感じたり、場所のはっきりしない腹痛を感じるケースが多いです。ほとんど症状がない場合もあります。


2.胆嚢炎とは? - 特徴や原因

<胆嚢(たんのう)について>
肝臓では脂肪の消化吸収を助ける「胆汁(たんじゅう)」という液体が作られ、「胆管」という管を通って「胆嚢」と呼ばれる袋状の器官に蓄えられます。
食事をすると、胆嚢にたまった胆汁が胆管をとおって十二指腸に分泌されます。

消化器系の器官
消化器系の全体解剖図
胆嚢の構造
胆のうのイラスト図解

胆嚢に炎症が起こる病気が胆嚢炎です。炎症のほとんどは細菌の感染によって起こります。

細菌の感染経路としては、腸内の大腸菌などが十二指腸をとおって侵入したり、胆管の細菌が肝臓に侵入し、胆汁へ排出されるケースなどがあります。

胆嚢内での細菌繁殖を促す「胆石」

胆嚢炎の患者には多くの場合、胆石と呼ばれる石が見つかります。胆石があると胆汁の流れが悪くなり、胆汁が胆嚢内にたまって凝縮され、細菌が繁殖しやすくなります。
胆石症や胆嚢がんなど、胆石が見られる病気の患者が胆嚢炎を併発しやすいのはそのためです。他にも絶食して点滴を長く続けている人も、胆嚢が働く必要がなく胆汁がよどんで胆嚢炎になりやすいです。

胆嚢内の胆石

◆胆石ができる原因

胆石はその成分の違いから幾つかの種類に分けられます。
「コレステロール胆石」、「ビリルビンカルシウム胆石」、「黒色胆石」が多く見られ、ほかにも炭酸カルシウムや脂肪酸カルシウムを主成分とする胆石などがあります。

近年では食生活の欧米化に伴いコレステロール胆石が増えてきて、全体の約70%を占めます。
「食べ過ぎ」、「脂肪の摂り過ぎ」、「肥満」、「ストレス」、「不摂生」、「体質」などが原因で、胆汁中に溶けたコレステロールの濃度が高くなりすぎると結晶化して石になります。

ビリルビンカルシウム胆石は、胆道内で細菌感染が起こり、胆汁中のビリルビンがビリルビンカルシウムに変化して固まったものです。黒色胆石は、体内で自分の血液が溶けて発生すると考えられ、大きな手術を受けた数年後にできることが多いといわれます。

◆胆嚢炎の種類と合併症

胆嚢炎には「急性胆嚢炎」「慢性胆嚢炎」があります。

急性胆嚢炎では胆石ができているケースが多く、急性胆嚢炎の90%は、胆嚢から胆汁が排出される胆管が胆石でふさがれるために起こります。残りの10%は無石胆嚢炎と呼ばれ、手術後に起こることが多いとされます。

慢性胆嚢炎は、急性胆嚢炎が続いて発症する場合と、はじめから慢性として発症する場合があります。胆嚢内に胆石があると、何度も急性胆嚢炎を繰り返して慢性化しやすくなります。
長期にわたって胆嚢炎を繰り返していると、肝膿瘍を併発しやすいほか、胆嚢の組織が厚くなり線維化して縮んでいきます。この状態を放っておくと、膵炎や、まれに胆嚢がんを引き起こすことがあります。

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3.診断・治療・予防

◆診断

病院での診察・診断

症状を詳しく聴き取り確認することで比較的簡単に診断できます。
「みぞおちの痛み」、「発熱」、「黄疸」は"シャルコーの3微"と呼ばれ、胆嚢炎の診断の目安になります。

診断を確定するには「腹部超音波検査(エコー検査)」が大変有効で、胆嚢内の変化や胆嚢壁の状態を的確に診断できます。
他の病気の合併を調べるために血液検査が行われることもあります。急性胆嚢炎が急激に悪化した場合、炎症による白血球数の増加などがみられ、胆管炎を併発していれば黄疸やALPといった胆道系酵素の上昇が見られます。

◆治療

急性胆嚢炎

症状が軽めなら、まずは抗生物質を投与して細菌を抑えて経過をみるのが一般的です。急な激痛や発熱がみられる場合は、入院して絶食した上で点滴や抗生物質による治療を行います。

慢性胆嚢炎

症状が強めなら、脂肪の多い食事や暴飲暴食をひかえ体重を減らすことで、慢性消化不良の状態を改善します。より重症な場合は、急性胆嚢炎と同様の治療を行うのが一般的です。

「炎症が強い」、「痛みの発作が激しい」など重症化している場合や、「胆石」がみられる時には、開腹手術や腹腔鏡を使った手術による胆嚢の摘出も検討します。
特に胆嚢炎による発作を繰り返している場合、様々な合併症を引き起こす危険性が高まるため、手術を行うのが最善と考えられます。腹膜炎を合併している場合も手術が必要です。
また、胆嚢は無くても日常生活に大きな支障はない臓器なので、胆嚢炎の再発を防ぐために手術で胆嚢を切除することも多いです。

◆予防

胆嚢炎は胆石が原因で発症しやすいので、胆石の発生や巨大化を防ぐことが大切です。
規則正しい生活を送り、特に食事内容には気を配る必要があります。脂肪分の多い食物はほどほどにし、食物繊維の多い食物を多くとることを心がけましょう。また、暴飲暴食を避け、食事時間も不規則にしないことです。
ストレスも発作を誘発する可能性があるので、ストレスをためすぎないよう定期的に発散することを心がけることも必要です。肥満や糖尿病は胆石につながる可能性があるので早めに改善しましょう。

生活習慣を改善して病気を予防

4.胆嚢炎データ

【受診科】

  • 消化器内科/消化器外科/消化器科/内科

【胆嚢炎の原因となる病気】

  • 胆石症、胆嚢がんなど

【胆嚢炎が原因で起こる病気(合併症)】

  • 胆嚢がん、膵炎、腹膜炎、肝膿瘍など
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