腹部大動脈瘤で腰が痛むケース

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『腹部大動脈瘤』の詳細 - 症状・原因・治療法

腰痛を引き起こす可能性のある病気や障害の一つに腹部大動脈瘤(ふくぶだいどうみゃくりゅう)があります。
ここでは、その特徴や腰痛との関連について解説します。

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1.腹部大動脈瘤が疑われる症状

腰の痛みのほかに、以下の様な症状・特徴が見られる場合、腹部大動脈瘤が発症している可能性があります。


  • 腰から背中にかけての痛みがある
  • 腹痛や腹部のしこりがある

発症したばかりの頃は自覚症状がないことが多いですが、病気が進んでくると痛みがでてきます。
痛む箇所は病気が発生した部位の近くで、主に背中から腰にかけての痛み、みぞおちあたりの広範囲な腹痛、胸の痛みなどです。

ほかには、腹部を触ったときに"しこり"がある、咳(せき)、息切れ、しわがれ声、物が飲みにくい、顔がむくむなどの症状が出ることもあります。

◆重症時の症状

胸、背中、お腹、腰などに突然の激痛が起こり周囲に広がっていきます。その後、体内出血により出血性ショック(※)が起こります。

「出血性ショック」
急な大量出血のために急激に血圧が下がるとともに全身の組織や臓器に十分な血液が送られなくなり、機能不全など重大な障害が起こるもの。早期に回復しなければ死に至る。


2.腹部大動脈瘤とは? - 特徴や原因

イラスト図解:大動脈瘤

大動脈は全身の組織や臓器に血液を送る大事な血管ですが、この一部がふくらんで瘤(こぶ)のようになったものが大動脈瘤です。

こぶができた箇所によって呼び名が変わります。腰痛が起きやすいのは腹部の大動脈にできた腹部大動脈瘤で、胸の大動脈にできたものは「胸部大動脈瘤」と呼びます。また、動脈の壁が裂けてしまった状態のことを「解離性大動脈瘤」といます。

大動脈瘤全体の約3分の2が腹部大動脈瘤で、50〜60歳前後の中高年の男性に多く見られます。
発症頻度は日本人の65歳以上の男性では2〜3%とされています。

◆瘤(こぶ)ができる原因

かつては梅毒によるものが多かったのですが、現在は動脈硬化によるものが大半を占めています。
大動脈の血管に動脈硬化や炎症が起こると、血管壁の繊維が壊れて弱くなり、その部分が血液の圧力によって大きくふくらんで、こぶのようになるのです。

動脈硬化の主な原因は、「コレステロール値や中性脂肪値が高い」、「糖尿病、高血圧、高脂血症などの病気」、「運動不足」、「ストレス」、「肥満」、「喫煙」、「加齢」などです。

大動脈瘤は先天性(生まれつき)の体質が関係して発症する場合もあります。

◆病気の進行

大動脈瘤の直径は年に約4ミリずつ大きくなっていきます。
小さいうちはほとんど症状が現れません。しかし大きくなると体の内部に圧力がかかって、こぶに近い箇所に痛みが現れます。やがて血圧に耐えられなくなり瘤(こぶ)が破裂します。
破裂直前から突然の激しい腹痛や腰痛、背中痛が起こり、破裂後は激痛と出血のために顔面蒼白になって失神することが多く、血圧が低下して出血性ショック状態に陥ります。

動脈硬化によってもろくなった動脈では、こぶが急速に大きくなります。

重症化すると大変危険な病気

大動脈瘤の破裂が起こると、大出血を伴うため死亡率が大変高くなります。
腹部大動脈瘤による死因の約半分がこぶの破裂によるものです。4cm以下のこぶが破裂する危険性は2%以下ですが、5cm以上になると2年以内に破裂する危険性が20%を超えます。
破裂以外の死因としては、動脈硬化にともなう虚血性心疾患、脳血管障害、腎機能障害、胸部大動脈瘤など、ほかの臓器障害によるものです。

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3.診断・治療・予防

◆診断

腹部大動脈瘤の画像

大動脈瘤ができても大抵は自覚症状がなく、多くは健康診断における胸部のX線検査(レントゲン)、腹部の超音波検査などで偶然発見されます。
また、自分で腹部を触ってみて"しこり"に気づいたり、痛みを感じて診察に訪れることもあります。

医療機関ではX線やCTスキャンの画像でこぶを確認して診断を確定します。MRI検査や超音波検査、血管造影などを行うこともあります。

◆治療

一度できた大動脈瘤を小さくすることはできないため、こぶが小さい場合はそれ以上大きくならないような治療をします。血圧を下げる薬を服用し、同時に運動や食事制限でコレステロール値と中性脂肪値を適正に保ち動脈硬化を改善します。

こぶが大きく重症の場合は、こぶのある血管を切開して人工血管に置き換える移植手術を行います。
破裂した後の緊急手術では死亡率が40〜50%と非常に高くなりますので、痛みなどの自覚症状がなくても直径5cm以上のこぶは原則として手術を行います。最近では合併症がなく手術によるリスクが低い場合は4〜5cmでも手術したほうがよいとされています。
また、こぶの拡大速度も判断基準の一つで、半年に5mm以上大きくなる場合も手術すべきと考えられています。

手術を行った後の経過は比較的良好で、5年後の生存率は約70%です。

◆予防

摂生と不摂生

主な原因である動脈硬化を予防するため、規則正しい生活習慣を心がけることが大切です。暴飲暴食を避けてバランスの良い食事をとり、適度な運動を行い、ストレスはためこまず上手く解消するようにしましょう。
先にも述べたように、大動脈瘤は症状が重くなるまではこれといった病状が表れず、重症化してしまうと死亡率が大変高い恐ろしい病気ですので、年に1度は健康診断や人間ドックを受けることが望ましいです。特に高血圧の人や身内に大動脈瘤の発症経験のある人は注意が必要です。


4.腹部大動脈瘤データ

【受診科】

  • 循環器内科/心臓血管外科

【腹部大動脈瘤の原因となる病気】

  • 動脈硬化、梅毒、糖尿病、高血圧、高脂血症など
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