腰まわりの神経が刺激されて痛むケース

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イラスト図解:腰背部の構造・骨格・筋肉

メニュー > 原因2.神経の障害

神経障害性の痛み

◆神経痛とは

体の中央には、背骨に囲まれて「脊髄(せきずい)」と呼ばれる一本の太い中枢神経が通っています。脊髄は脳から腰まで伸びており、その途中で無数の脊髄神経に枝分かれしながら手足に向かって分岐しており、脳からの命令を手足に伝えたり、逆に痛みをはじめとする体の様々な感覚のシグナルを脳に伝達します。
こうした神経が何らかの原因により、圧迫、損傷などの刺激を受けて発生する痛みが神経痛です。

<痛みの特徴>

皮膚の表面近くに感じる痛みで、"チクチク"、"ピリピリ"といった痛み方をします。痛み方は個人差があり、神経の圧迫が軽度なら、衣服がスレた時に違和感を感じたり、アリが走るような感覚がする程度ですが、強く圧迫されたり神経が損傷したりすると、針を刺すような鋭い痛みや激痛が生じる傾向があります。

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1.腰まわりの神経について

腰〜下半身の神経
イラスト図解:下肢の神経

神経が支配する部位
イラスト:神経の管理箇所

脳から腰まで伸びる太い一本の中枢神経である「脊髄」は、腰のあたりから無数の神経の束である「馬尾神経(ばびしんけい)」に変わります。馬尾神経は腰椎や仙骨の間を通って枝分かれしながら足先まで伸びていきます。この一部がお尻のあたりで合流して一本の太い神経となっているのが「坐骨神経(ざこつしんけい)」です。

◆腰痛を引き起こす「坐骨神経痛」

腰に起こる神経痛といえば、一般的に坐骨神経痛のことを指します。
椎間板ヘルニアなどの腰の障害の影響で、坐骨神経が強く圧迫されたり、圧迫が続いて炎症がを起きることで痛みが生じます。

坐骨神経は1mもの長さがあり、お尻から足先に向かって伸びており、腰から太もも、足先まで広い範囲の知覚をつかさどっています。そのため多くの場合、お尻や足の痛み・しびれも伴います

坐骨神経は途中でたくさんの細い神経に分岐しており、それぞれ別の部位の感覚を支配していて、損傷を受けた神経ごとに症状の現れる箇所や内容が違ってきます。そのため、MRIなどの画像検査をしなくても、症状を詳しく調べれば、どの部分の坐骨神経に障害が起きているかある程度特定することができます。

◆より重篤な症状がみられる「馬尾症状」

神経は体の各部の運動のシグナル、温度の感覚、触覚などの知覚も支配しています。そのため、特に脊髄や馬尾神経などの中枢神経が障害されると、痛みのほかに体の機能障害や感覚障害も現れます。

坐骨神経は馬尾神経と呼ばれる神経の束から分岐したものです。この馬尾神経が障害された場合、以下のような坐骨神経痛よりも重い症状が現れます。これらを馬尾症状といいます。
馬尾症状が現れた場合、早急に医療機関を受診する必要があります。

  • 両足のしびれや麻痺(まひ)
  • 両足の筋力低下(足に力が入らない、つま先立ちできないなど)
  • 歩行障害(一度に長く歩けない、または全く歩けない)
  • 足の裏の感覚や腱反射の鈍り
  • 排尿・排便障害(尿が出にくい、失禁、頻尿、慢性的な便秘など)
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2.神経を刺激する要因

神経痛は主に、腰椎や仙椎に起こる障害によって坐骨神経が刺激・圧迫されて発生します。

  • 腰椎椎間板ヘルニア
    坐骨神経痛の原因として最も多いものです。椎間板が押しつぶされて飛び出した髄核(ヘルニア)が神経を圧迫します
  • 腰部脊柱管狭窄症
    神経の通り道である「脊柱管」が、加齢や病気によって狭くなり神経が圧迫されます
  • 腰椎分離症・すべり症
    腰椎は椎骨と椎間板が積み重なり、椎間関節でつながっています。椎間関節が疲労骨折すると椎骨がずれ動いて神経を圧迫します
  • 変形性腰椎症
    腰椎を構成する骨(椎骨)が、加齢や負担の蓄積でトゲ状に変形して神経を刺激します
  • 脊髄腫瘍
    脊髄やその周辺にできた腫瘍が大きくなって神経を圧迫します

これらのほか、物理的な腰のケガで神経が損傷したり、帯状疱疹、糖尿病、うつ病、リウマチなどの病気、ウイルスによる神経障害、アルコール依存症などが原因となることもあります。

横から見たヘルニアの神経圧迫
図解:神経根の圧迫
上から見たヘルニアの神経圧迫
図解:椎間板ヘルニア
脊柱管の狭まりと神経圧迫
図解:脊柱管の狭窄と神経圧迫

◆痛みを悪化させる要因

腰椎の病気や障害に別の要因が加わることで、坐骨神経痛による痛みが増したり長引いたりすることがあります。

  • 筋肉や靭帯の疲労
    腰椎に障害が起きている場合、大抵は腰まわりの筋肉や靭帯に疲労が見られます。これは筋肉が弱った結果として腰椎障害が起きていたり、逆に腰椎障害で不安定になった腰を支えるために周囲の筋肉や靭帯に余計な負担がかかるためです。筋肉や靭帯が酷使されて緊張すると、コリができたり血行が悪くなることで坐骨神経痛の症状を悪化させます

  • 不安やストレス
    精神的なストレスによって自律神経のバランスが崩れると、痛みをブロックする機能が低下して痛みを強く感じるようになります(心因性腰痛)

  • 腰の冷えや飲酒習慣

  • 長期間の圧迫
    神経が長期にわたって圧迫され続けると、神経の炎症が強まったり、自然回復しないほど損傷することがあります。こうなると神経の圧迫を取り除いた後もなかなか症状が治まらなかったり、完全には治らなくなることがあります

神経痛を解消するためには、原因となっている病気や障害を治療して神経への刺激を取り除く必要があります。
神経が圧迫されているだけなら、圧迫を取り除けばすぐに症状が改善します。神経が損傷している場合は、損傷箇所が自然治癒するまでしばらく痛みやしびれは続きますが、徐々に症状は和らいでいきます。

3.まとめ


  • 腰の神経痛といえば坐骨神経痛のことで、多くの場合、お尻や足の痛み・しびれを伴う
  • 坐骨神経痛は、腰の骨や椎間板の変性をともなう病気(椎間板ヘルニアなど)が原因で起こることが多い
  • 両足のマヒ、歩行障害、感覚障害、排尿・排便障害などが見られたらすぐに医療機関を受診する
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