腰はなぜ傷みやすいのか

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イラスト図解:腰背部の構造・骨格・筋肉

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日本人の多くが経験する「腰痛」

腰痛は日本人の国民病といわれるほど多くの人に発症する障害で、特に40〜60歳代の中高年に多く見られます。

また、日本人は腰回りの筋肉が白人や黒人よりも細く弱いため、外国人よりも腰痛になりやすい傾向があります。男女の比較では、筋力が弱い女性のほうが腰痛になりやすいと言えます。

腰痛の原因は腰の骨や筋肉の傷害によるものから、ストレスや他の病気によるものまで様々ですが、全て合わせると日本人の成人の90%が一生に一度は腰痛を経験していると言われます。

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1.データで見る腰痛の多さ

腰痛イメージ


  • ここ数年、腰痛に悩む日本人の数は1000万〜3000万人で推移している。おおむね4〜10人に1人は「腰痛持ち」ということになる

  • 平成22年国民生活基礎調査の項目の一つである「自覚症状のある病気やケガ」では、腰痛は男性では1位、女性では肩こりに次いで2位という結果だった。
    平成19年度では、腰痛を自覚症状として感じている人は、人口1000人あたり約100人で、国民の10人に1人は腰痛に悩まされている。通院している人の数で見ても1000人あたり約46人で、高血圧に次ぐ多さだった

  • アメリカにおける腰痛の発生率は全人口の15〜20%で、45歳以下の就業不能原因の第一位との研究報告がある。日本でも職場で腰痛が発生する件数は非常に多く、業務上疾病の約6割という高い水準

  • 過去に腰痛を経験したことのある人のうち約半数が現在も腰痛を抱えており、また、肩こりのある人の7割、ストレスのある人の4割に腰痛があるとされる

  • 腰痛のほとんどは2〜3週間でよくなるが、"再発率"が高く、一年以内では30%、10年以内なら80%にもなる。そして約5%が慢性化するといわれる

2.腰と背骨は体を支える大黒柱

◆体の中で最も負担の大きい「腰」

背骨の構造
背骨の生理的弯曲
骨盤の構造
画像:骨盤・仙腸関節の図解と各部名称

人間は大きな頭部を持ち、直立して二足歩行をするため、ほかの動物と比べて背骨に非常に大きな荷重がかかます。そしてその土台である腰の骨(骨盤や腰椎)にはとりわけ大きな負担がかかります。
腰は体重の多くを占める上半身の重みを支えるのに最も大きな役割を果たし、物を持ったり体を曲げ伸ばししたりと、大小さまざまな動きをするときにも一番負荷がかかります。特に腰の背骨「腰椎(ようつい)」の一番下の、骨盤との境界部分には全体重の約60%がかかり、腰を前に曲げるとその4倍の負荷がかかります。そのため日常生活で負担のかかることが多く、比較的若い時期から腰痛などの障害が起こりやすい部位です。

(参考)腰にかかる荷重の比較
姿勢・動作荷重姿勢・動作荷重
あおむけに寝る25
横向きで寝る75
まっすぐに立つ100
立った状態でお辞儀する
(腰を前に20度傾ける)
150その状態で20kgのものを持つ220
イスに座って背筋を伸ばす140
椅子に座ってお辞儀する
(腰を前に20度傾ける)
185その状態で20kgのものを持つ275

この表は、体重70キロの人の第3〜4腰椎椎間板に圧力計を差し込み、姿勢によってどの程度の圧力が加わるかを調べたものです。座っているよりも立っている方が腰への負担が少ないのが分かります。姿勢を正して座っていても相当な力が加わりますし、ちょっとした前傾姿勢でも想像以上に腰に大きな負担となります。

◆負荷を軽減する背骨(脊椎)の構造

背骨の生理的弯曲

人の背骨は前後に緩やかにカーブしたS字型の構造をしています。このカーブが背骨にかかる重みや歩行時の衝撃を和らげ、人が安定した直立姿勢がとれるように、類まれなる体の安定性を生み出しています。
背骨の3つのカーブは全体的としてバネのような弾力性をもち、理論上は真上から衝撃を加えた場合に下に伝わる力が、まっすぐな背骨の10分の1に軽減するとされます。
背骨の一番下には、背骨を下から支える土台となる骨盤があり、大腰筋や腸腰筋といった周囲の筋肉によって骨盤の位置が固定されています。(参考:腰の構造)


「背骨のゆがみ」や「骨盤の傾き」が腰痛を引き起こす

猫背のように姿勢が悪かったり、腰の使いすぎや加齢によって腰椎の骨や椎間板が変形したりすると、背骨がゆがみ、S字型のカーブが崩れてしまいます。(参考:腰に負担をかける要因)
すると背中や腰にさまざまな不調が現れてきます。腰への負荷や衝撃を吸収・分散する機能が低下するため、腰椎の負担がより大きくなります。椎間板、筋肉、関節などが損傷して炎症による痛みを生じるほか、骨や椎間板、靭帯の変形によって神経が刺激されて傷んだりします。

骨盤の傾き・歪み

骨盤の傾きも背骨のゆがみの原因となります。
若い頃は骨盤が水平に保たれていますが、歳をとるにつれて少しずつ前に傾いていきます。すると骨盤の上に乗っている背骨もその影響を受けて大きなカーブを描くようになります。


<骨盤の傾きは運動によって改善できる>

骨盤の前傾は老化現象ですが、それ以外にも、お腹の筋肉(腹筋)、お尻の筋肉(大殿筋や腸腰筋)、太ももの筋肉(大腿四頭筋やハムストリングス)の衰えによって進行します。定期的に運動行い、これらの筋肉をしっかり鍛えておけば、歳をとってからも腰が曲がらず骨盤を水平に保つことができます。

筋肉はどんなに高齢になってからでも強くすることができます。運動を始めるのに遅すぎるということはありません。筋力トレーニングや全身運動によって筋力を高め、柔軟体操などで筋肉の柔軟性を向上させることで、効果は倍増します。


背骨をゆがませる「姿勢の崩れ」

姿勢と背骨の歪み

  1. ねこ背(円背・亀背)
    最も多く見られるタイプで、背中が丸まり腹筋が緩んでしまっている状態。背骨のS字カーブがC字カーブになってしまっている

  2. 凹背(おうはい)
    おなかが前に突き出し、腰が後ろに突き出した状態

  3. 凹円背(おうえんぱい)
    背中が丸まり、おなかが前に、腰が後ろに突き出た状態

  4. 平背(へいはい)
    一見するとキレイな姿勢だが、腰と背中に余計な力が入っている。背筋をピンと張りすぎて背骨がまっすぐになり、自然なS字カーブが消えた状態

1〜4のいずれも腰の反りが強くなりすぎています。これらの姿勢の共通点は、腹部の筋肉の働きが悪いということです。

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