腰にやさしい生活スタイル

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イラスト図解:腰背部の構造・骨格・筋肉

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腰に負担をかけない生活を送るために

腰は上半身の重みを支えたりバランスをとる役割があるため、日常生活において大きな負荷がかかることが多く、膝と並んで最も痛みを生じやすい部位の一つです。
痛みを軽減・予防するために、普段の生活習慣を見直して腰の負担を減らしましょう。

<目 次>

  1. 姿勢や動作について
  2. 運動について
  3. 食生活について
  4. ストレスや性格・考え方について
  5. 冷えについて
  6. その他
  7. まとめ
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1.姿勢や動作について

物を持ったり体を曲げ伸ばししたりと、大小さまざまな動きをするときに、体の中で最も大きな負荷のかかる箇所が「腰」です(参考:腰にかかる荷重)。普段の何気ない姿勢や動作でも思った以上の負担になり、それが積み重なることで腰痛を発症します。

腰痛の原因として最も多くの割合を占めるのが「不適切な姿勢や動作」です。
「体が弱い」、「運動不足」、「肥満ぎみである」といった危険因子があっても、理想的な姿勢や動作ができていれば、そうそう腰痛になることはありません。それくらい正しい姿勢や動作は腰を健康に保つために重要です。
腰の負担が少ない姿勢や動作を身につけ、腰痛を改善・予防しましょう。
運動不足や肥満は、姿勢が悪くなる要因の一つではあるので注意しましょう。


1-1.背筋をまっすぐに伸ばす

図解:骨盤の傾斜と背骨の弯曲

背筋がピンと伸びた姿勢は、体を横から見た時は背骨がまっすぐで、前後から見た時は緩やかなS字カーブを描いた状態です。この状態だと、背骨が上半身の重みや外部からの衝撃をしっかり吸収・分散できるため、立っている時や座っている時の腰への負担が最小限に抑えられます。

逆に、「背中を丸めて前かがみ(猫背)になる」、「上体を大きく反らす」、「お腹を前に突き出す」、「中腰になる」などの背中が曲がった姿勢では、背骨の負荷を分散する働きが低下して腰の負担が大きくなります。普段の生活においては、こうした腰に良くない姿勢を頻繁にとったり、長時間続けたりしないよう気をつけなければなりません。

対策

  • 腰を前に曲げる時は、先にひざを曲げたり、両足を前後に開くことで前かがみの姿勢を防止できる。
  • 腰を曲げたり中腰の姿勢で作業をする時は、一度しゃがんだり、片ひざや両ひざをつく。
  • 中腰姿勢の多い時は、時々休憩してストレッチなどを行う。腰に保護ベルトやサポーターなどを巻いて仕事をすると腰痛になりにくいという研究結果もある。
  • 自然に背中が丸まってしまったり、普段から姿勢が悪いと指摘されるような人は、お腹の筋肉「腹筋」が弱いために上半身を支えられていない可能性があるため、腹筋運動などの筋力トレーニングを行う。姿勢を矯正する器具を利用する方法もある。

理想的な立ち姿勢、座り姿勢、寝るときの姿勢、歩き方、その他日常生活における姿勢や動作については、別項「腰にやさしい姿勢や動作」でイラスト図解付きで詳しく解説しています。


1-2.同じ姿勢を長時間続けない

イラスト:腰に負担のかかる職業

良い姿勢であっても、長時間同じ姿勢を続けると腰の筋肉が緊張して固くなり、血液の流れが悪くなって腰痛が発生します。
特に座りっぱなしで仕事をすることの多い事務職員や運転手、立ちっぱなしになることの多い販売員や警備員といった人たちは注意が必要です。30分に一度くらいはトイレ休憩したり、ちょっと席を立って歩いたり、軽く体を動かすようにしましょう。なかなか時間のとれない人は、少し姿勢を変えてみたり、イスに座ったままできる体操・ストレッチをするだけでも腰の疲労がたまりにくくなります。
イスや運転席用のクッションを利用するのも、腰の負担を減らすのに有効です。


1-3.腰を急激に動かさない

腰を勢いよくひねる

「腰を急にひねる」、「激しく動かす」、「何度も前後左右に曲げる」といった動作は、特に腰の負担が大きく、筋肉が傷ついたり捻挫を起こしやすいです。野球やゴルフのスイングをした時などによくみられます。また、こうした動きは腰に瞬間的にかかる負荷が大きいため、腰に疲労がたまった状態で行うと、ぎっくり腰などの急性腰痛を発症するきっかけとなります。普段から腰を使った動きはゆっくりと行うよう意識しましょう。
特に、「腰をひねったまま前や後ろに曲げる」動作は腰に大変な負担となりますので絶対にやめましょう。


2.運動について

普段から適度な運動を行うことは、痛みの軽減に役立つほか、大きな予防効果も得られるため大変有効です。
散歩、体操、スポーツなどで体を動かすことが腰痛に対して高い治療効果や予防効果を持つことは、科学的にも証明されています。
体が丈夫になって病気やケガをしにくくなるだけでなく、姿勢が良くなったり、肥満を防いだり、ストレス解消になるなど、腰痛改善に役立つ様々な効果が得られます。

2-1.運動によって得られる主な健康効果

適度に運動やスポーツを行う

  • 骨や筋肉が強化され、腰を支える力が強まる
  • 姿勢が良くなる
  • 体力がつき、抵抗力(免疫)が強まる
  • 血行が良くなり新陳代謝が良くなる
  • 体の老化を遅らせる
  • 肥満を防ぐ
  • ストレス解消になる

運動による腰痛防止・改善効果については、別項「運動療法」で詳しく解説しています。

2-2.運動の種類

運動は目的・種類別に大きく3つに分けられます。
主に筋力アップを目的とした「筋力トレーニング」、筋肉や関節の柔軟性を高めたり、体の奥深くの筋肉を鍛える「柔軟体操、ストレッチング」、基礎体力の向上と心肺機能を高めるウォーキングなどの「全身運動(有酸素運動)」です。各運動法によって得られる詳しい効果と具体的なやり方については、それぞれの解説ページを参照してください。

運動といっても、本格的なスポーツや激しい運動をする必要はなく、近所を軽く散歩する程度でも十分な効果が得られます。定期的に行い継続することと、自分が気持ちよく感じる範囲で行うことが大事です。やり過ぎるとかえって腰を痛めてしまいます。

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3.食生活について

食生活で気をつけるポイントは、「適切な量を食べる」、「規則正しく食べる」、「栄養バランスの良い食事をとる」の3点です。

理想的な食習慣と腰に悪い食生活

3-1.食事の量

食事は適度な量を食べることが大切です。必要以上に飲み食いする「暴飲暴食」は肥満につながり、体重が増えたり、体のバランスや姿勢が崩れることによって腰の負担を増やします。また、肥満は成人病や様々な内蔵の病気の原因となります。内臓の病気の中には腰痛の症状を起こすものがあります。

適切な食事の量は個人によって異なります。肉体労働者など一日の消費エネルギーが多い人は多めに食べても問題ありません。"一日の消費カロリー" > "一日の摂取カロリー"となるようにすれば良いのです。

昔から「腹八分目」が良いとされます。目安として、食事後に満腹感を感じないことや、次の食事の前にお腹がグーグー鳴るくらいが良いでしょう。ただし、「早食い」や「ながら食い(テレビを見ながら食べるなど)」は満足感を得にくく食べ過ぎてしまうので注意です。食事は良く噛んで、時間をかけてゆっくり食べると少量でも満腹感を得やすくなります。

食べ過ぎによる肥満が腰に悪いのはもちろんですが、食事を十分に採らずに痩せすぎてしまうのも腰痛の原因となります。体に必要な栄養素が不足することで骨や筋肉が弱くなるほか、女性の場合だとホルモンバランスの乱れが生じて、月経困難症骨粗しょう症を発症しやすくなります。

3-2.規則正しい食生活

一日3食しっかりとり、毎日同じくらいの時間帯に食べることを心がけましょう。食事を抜いてまとめ食いしたり、食事の時間がまちまちだったりすると、空腹で食べ過ぎてしまったり、脂肪がつきやすい体質になります。また、夕食後の時間帯に夜食をとるのも止めましょう。夜寝る前や就寝中は消費されるカロリーが少ないため、余ったエネルギーの多くが脂肪に変わります。寝る前の3〜4時間は食事を控えましょう。

3-3.栄養バランスのとれた食事

炭水化物、たんぱく質、脂肪、ビタミン、ミネラルの5大栄養素をバランスよく摂取するのが理想です。
米やパンなどの炭水化物、油っぽい食べ物、甘い食べ物・飲み物などはカロリーが高く、とり過ぎると肥満につながります。筋肉の主成分であるたんぱく質が不足すると筋肉がやせ衰えてしまいます。ビタミンやミネラルが不足すると、骨が弱くなるほか免疫が低下したり、様々な病気にかかりやすくなります。

腰痛を改善するための食生活のポイントについては、別項「腰痛と食生活」で詳しく解説しています。

4.ストレス・性格・考え方について

近年の研究結果から、腰に明らかな異常が見つからない"原因不明の腰痛"の3分の2(腰痛全体の半分近く)には、多かれ少なかれ、ストレス、不安、鬱(うつ)などの「心理・社会的要因」が関与していることが分かっています。
こうした心の不調が原因の腰痛を心因性腰痛症といいます。

ストレスの感じ方には個人差があります。ストレスを感じにくい人やストレスを前向きにとらえてバネにできる人もいれば、些細なことでも必要以上に気にしたりクヨクヨと悩んでしまう人もいます。痛みに対しても、小さな痛みは気にしない人もいれば、痛みのことばかり考えてストレスになってしまう人もいます。
ストレスの感じ方には、個人の性格や痛みに対する考え方も大きく関わっています。

腰痛を発生させないためには、普段からストレスをため込まないようにしたり、物事への考え方を変えていく必要があります。

◆自分なりのストレス解消法を

趣味でストレス解消

現代社会でストレスと無縁の生活を送ることはとても難しいです。ストレスの元を断ったり、ストレスを感じにくいように性格や考え方を変えられれば良いのですが、仕事や家庭の問題が絡んでくると中々難しいものがあります。
そこでストレスを感じるのは仕方のないこととして、ストレスがたまって心身に悪い影響が出てくる前に、うまく発散する方法を持つことをお勧めします。
ストレス解消法には様々な方法があります。「ストレスへの対処・解消法」で紹介していますので参考にしてみてください。


5.冷えについて

腰痛と関わりの深い要因の一つに、「血行(血液の流れ)」があります。
腰が冷えると腰まわりの血行が悪くなります。すると血液中に含まれる「痛みの元となる化学物質」や「疲労物質」が流れ出てゆかずに腰に多くとどまるようになり、痛みを引き起こしたり回復が遅れたりします。
また、冷えによって筋肉は固くこわばり柔軟性がなくなります。すると腰椎を支える働きが弱まり、腰にかかる負荷が増大して腰痛を発症しやすくなります。

腰痛防止のために、普段から腰を冷やさないよう注意しましょう。

体を温めて血流を良くする

  • お腹や腰を露出するような薄着は避ける
  • 冷たい食べ物や飲み物をとりすぎない
  • 冷房などの冷風が腰に直接あたらないようにする。寒い場所に長時間いる時は、カイロや腹巻き、腰用のサポーターなどを活用する
  • 腰が圧迫されることでも血行が悪くなるため、腰をきつくしめつけるような服は着ない 

6.その他

6-1.質の良い睡眠をとる

早寝早起き

深い眠り、質の良い睡眠によって心と体の疲労は回復します。長く寝れば良いというものではなく、ぐっすり眠れて目覚めが良ければ6時間程度の睡眠で十分といわれます。

質の良い睡眠をとるためのポイントは、「遅くとも夜11時前には寝る」、「寝る1〜2時間前はテレビ、パソコン、スマートフォンなど光を発する画面を見ない。また、部屋の照明もやや暗めにする」、「就寝前は音楽を聴いたり読書をするなどして脳をリラックスさせる」、「入浴などで体が温まった状態で寝る」、「昼間なるべく体を動かして適度に疲労させる」などです。

逆に質の悪い睡眠とは、「夜更かしして遅い時間に寝る」、「寝る直前までテレビなどの画面を見る」、「普段から睡眠不足で週末にまとめて寝だめする」、「夜勤などで昼間に寝る(昼夜逆転の生活)」、「一度目が覚めてもベッドから出ずにダラダラと寝続ける」などです。
質の悪い睡眠は、心身の疲労が抜けないだけでなく、体の機能をコントロールする自律神経の働きが乱れたり、ホルモンバランスが崩れます。その結果、体力や免疫力が低下して様々な体の不調が現れたり、病気にかかりやすくなります。

6-2.荷物の持ち方、靴

荷物を持つ時は、左右の手をバランスよく使いましょう。いつも同じ側の手で持っていたり、同じ側の肩にバッグを掛けていると、体の重心が崩れて腰椎や骨盤に負担がかかります。リュックサックを使うようにするのもオススメです。

腰に良い靴・悪い靴

靴は靴底が厚いものやクッション性の高いものを履くと、歩行時の腰への負担を減らせます。ウォーキングシューズやスニーカーが良いでしょう。また、靴のサイズも重要です。履いた時にカカトの後ろに指一本分くらいの隙間ができるのがちょうど良いサイズです。
少し難のある靴でも、インソール(中敷き)を使うことで欠点を解消することができます。柔らかくクッション性の高いのもが販売されています。サイズが大きい靴に使えば、サイズをある程度調整することもできます(参考:オススメのインソール)。

逆に腰に良くないのは、靴底が薄くて硬い靴や、ハイヒールなどのカカトの高い靴、サイズの合わない靴です。
靴底が硬いと体への衝撃が大きくなりますし、靴底の傾きが大きい靴やサイズの合わない靴を履くと、上体のバランスが崩れ、それを補おうと腹筋や背筋に余計な力が入って筋肉が緊張します。長く歩くと疲れるような靴を履いていると腰痛が起こりやすくなります。


6-3.飲酒・喫煙はほどほどに

お酒は適度な量を飲むなら様々な健康効果があることが研究で証明されています。しかし、お酒もたばこも度を過ぎると害にしかなりません。一度に過剰な量を摂取したり、多めの量を長期間摂取し続けると、腰痛を発症する様々な病気のリスクが高まります。

6-4.がんばりすぎない

仕事や家事でもスポーツでも、あまり頑張り過ぎないよう心がけましょう。頑張ってばかりいると、腰の疲れやストレスがたまったり、自律神経のバランスが崩れて症状が悪化します。疲れがたまる前に十分な休息をとり、心にも体にも常に「まだまだ余裕がある」という状態を維持するのが理想的です。

7.まとめ

腰痛を遠ざける生活習慣

  1. 腰にやさしい姿勢・動作を心がける
  2. 定期的に適度な運動を行う
  3. 規則正しくバランスのとれた食生活
  4. ストレスをため込まずに発散する
  5. 腰を冷やさない
  6. がんばり過ぎない
  7. しっかり睡眠・休憩をとる
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