腰痛を改善・予防するための正しい姿勢や動作

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イラスト図解:腰背部の構造・骨格・筋肉

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姿勢や動作を正して腰痛対策

腰痛の最も大きな原因とされるのは「不適切な姿勢や動作」です。普段の何気ない動きでも、思った以上に腰に負担をかけ、それが積み重なることで腰痛を発症します。

腰の負担が少ない理想的な姿勢や動作をイラスト付きで解説します。また、長時間同じ姿勢を続けて腰を疲労させないよう、その場でできる手軽なストレッチ法も紹介しています。
腰痛の改善・予防のために是非身につけてください。

<目 次>

  1. 正しい姿勢・動作
    立ち方、歩き方、座り方、寝るときの姿勢、重い物の持ち上げ方、家事を行う時の姿勢
  2. その場で気軽にできるストレッチ

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1.正しい姿勢や動作

1-1.立ち方

画像:理想的な立ち方

ポイント

  • 背筋を伸ばしてアゴをひく。
    頭の上についた"ひも"で上に引っ張られているようなイメージ。上半身は力を抜いて自然にする。背中に力が入り背筋をピンと張りすぎた状態も、背骨の自然なカーブが消えるため腰に良くない

  • 肩の力を抜いて腹筋に力を入れる

  • ひざは力をいれずに軽く曲げる

  • 足の親指のつけ根に体の重心を置く。足の親指で立つ気持ちで

  • 「背中を丸めて前かがみ(猫背)になる」、「上半身を反らしすぎる」、「お腹を前に突き出す」、「中腰」
    こうした姿勢は脊椎に無理な力がかかり腰痛の原因になる

1-2.歩き方

イラスト図解:腰に良い歩き方

ポイント

  • 背筋とピンと伸ばし、膝もしっかり伸びた状態で、かかとから着地する。腰とひざの負担が少ない歩き方

  • 歩 くのに合わせて自然に手を振り、大股で歩く

  • 理想的な歩き方ができていると、体が左右にブレず、頭も上下に動かず一定の高さを保つのが特徴。音で表現すると「カツカツカツ」という感 じ

  • 以下のような歩き方は腰に良くない
    「背中を丸めて歩く」、「ひざが曲がった状態で歩く」、「内股・がに股で歩く」、「足を引きずって歩く」

日本人に多い「ひざ歩き」

背中を丸め、常にひざが軽く曲がった状態で、上体を揺らしながら歩く「ひざ歩き」は日本人に多く見られます。
歩くたびに頭が上下に動いて、脚を踏み出すたびに右へ左へと全身が揺れるヒョコヒョコとしたく歩き方です。 見た目にも悪く、腰と膝に余計な負担がかかります。

腰と膝に良い歩き方・悪い歩き方


1-3.座り方

イラスト図解:正しい椅子の座り方

ポイント

  1. アゴは軽く引き、首に余計な力は入れない

  2. 背もたれはやや高めで、角度はやや後方に傾いた状態が最もよい。背もたれの形は、ゆるいカーブを描き背中のカーブに合ったものが良い。合わない場合は間にクッションなどを挟む

  3. 腰を背もたれでしっかり支持する

  4. イスに深く腰かけて、ほぼ直角になるように座る

  5. イスの高さは、足の裏がしっかり床につき、その状態でひざの角度が直角くらいに曲がるくらいがよい。イスが高すぎる時は台座などの上に足を置く

  6. パソコンのモニターを見る時は、視線が水平よりやや下を向くくらいの高さにする。高すぎたり低すぎたりすると首に負担がかかり、首痛や肩こりの原因になる
イラスト:腰に悪い座り方
イラスト:良い座り方、悪い座り方

イスを使わない座り方

  1. 正座
    自然と背筋が伸びるため腰にやさしい。背中が丸まらないように注意。お尻の下に座布団などを挟むと、背骨の自然なカーブが維持しやすいほか、ひざの負担も減る

  2. あぐら
    背中が丸まりやすいため、あまり腰によくない。背筋を伸ばして座れは負担を減らせるが、上体のバランスをとるのに腰の背筋が酷使されるため長時間座るのには向かない

  3. 足を投げ出して座る
  4. 横座り
  5. 立てひざ座り
    3〜5はどれも腰が曲がったり、ねじれたり、重心が偏って余計な力がかかったりするため腰によくない

  6. 体育座り
    両腕でバランスをとれるため楽に思えるが、背中が丸まってしまうほか、お尻への負荷が大きく骨盤がゆがみやすいなど、やはり腰にはよくない
イラスト:色々な座り方

1-4.寝るときの姿勢

ポイント

  • 横向きに寝るのが腰の負担が少なくオススメ。痛む側を下にして横になり、ひざを90度くらいに曲げる。腰の下にタオルなどクッションになるものを置くと更に楽になる

  • 仰向けに寝る場合は、腰が楽になる姿勢を維持する。膝を立てると楽になるなら、膝を軽く曲げてその下に座布団やクッションを入れる。足を高く上げると楽になるなら、座布団やクッションの上にふくらはぎを乗せる

  • うつ伏せに寝るのは、腰の反りが大きくなって腰に負担がかかるため良くない
イラスト:腰に良い寝方・悪い寝方


寝具について

  • 敷布団(マットレス)は軟らかすぎず硬すぎず、体が軽く沈み込むくらいだと背骨の自然なカーブが維持できるため、腰の負担が小さくなる。軟らかすぎると背中が丸まり、固すぎると反りが大きくなって腰に負担がかかる

  • 枕も同様の理由から軟らかすぎるのはよくない。また、厚みがありすぎて首の位置が高くなるものもダメ。適度な硬さで、長期間使っていてもへたりにくい素材のものを選ぶ

イラスト:腰に良い枕の高さ


1-5.その他の姿勢・動作

重いものを持ち上げる時

イラスト:荷物を持ち上げる時の姿勢

重いものは、一度ひざを曲げて腰を下ろし、荷物を体に引き寄せて、できれば体に密着させて、体全体の力を使ってゆっくりと真上に持ち上げます。
上半身を倒して腕の力だけで持ち上げようとしたり、荷物を体から離して持ったりすると、腰に大変大きな負荷がかかり、ぎっくり腰などの急性腰痛を起こす危険性があるので絶対にやめましょう。

家事を行う時など

掃除や洗濯を行ったり、洗面台で顔を洗ったりと、日常生活においては"前かがみ"や"中腰"など、腰に負担をかける姿勢をとることが多いです。こうした姿勢を極力とらず、できるだけ背筋がまっすぐな状態を保つよう普段から意識しておく必要があります。


  • 前かがみになる時は、腰より先にひざを曲げる
  • イスを利用したり、足台を使うなどして前かがみを防止する
  • 中腰で作業をせず、床に片ひざや両ひざをついて行う
イラスト:料理や洗面時の姿勢

イラスト:掃除をする時の良い姿勢・悪い姿勢

イラスト:中腰と片ひざ
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2.その場で気軽にできるストレッチ

たとえ良い姿勢でも、座りっぱなしや立ちっぱなしなど、同じ姿勢を長時間続けていると、筋肉が緊張して疲労がたまり、腰痛の原因になります。
だいたい30分に一度は姿勢を変えたり、軽く体を動かすことで腰痛予防になります。
職場でもできる首、肩、胸、背中、腰のストレッチ法を紹介します。

※一つ一つの動作はゆっくりと行い、強い力を入れずに動かせるギリギリのところまで動かします。
筋肉が伸びた状態で止めて、そのまま10〜20秒キープするようにしましょう。

2-1.腰のストレッチ

イラスト図解:腰の筋肉を伸ばす運動

やり方@ 腰をそらす運動

  • 立った状態でも座った状態でもできます。腰に手をあてたり、背もたれに寄りかかるなどして、腰への負担を和らげながら行いましょう。
やり方A 腰を回す運動

  • イスに座った状態で左足を右足の上に組み、右手で左ひざを右に押します。同時に上半身は左にひねって腰を回します。顔も左を向くようにしましょう。足を替えて逆方向も行います。
やり方B 腰を丸める運動

  • イスに座ったまま腰を丸めて前屈します。イスが後ろに滑らないように注意しながらゆっくり行いましょう。

2-2.壁を使ったストレッチ

イラスト図解:壁を使った腰痛体操

やり方@ 壁押し体操

  • 壁に向かって両足を前後に大きく開いて立ちます。前のひざを曲げ、両手で壁を押しながら、腰をゆっくりと少しずつ反らせていきます。腰、股関節、アキレス腱を伸ばせる体操です。
やり方A 寄りかかり体操

  • 両足を肩幅〜くらいに開き、壁に両手を付けます。お尻を後ろにつきだし、下を見ながら肩〜背中を下に沈めます。壁からなるべく離れて壁に寄りかかるようにすると背中が伸ばしやすくなります。主に肩、背中、腰を伸ばす体操です。

2-3.首のストレッチ

イラスト図解:首の柔軟体操・ストレッチ

  1. 正面を向いた状態からゆっくり右を向きます。伸びきった状態で5〜10秒間静止します。続いて左も同様に行います。

  2. 顔を正面に戻し、今度はゆっくりと下を向き、5〜10秒間静止します。続いて上を向いて同様に行います。

  3. 上を向いた状態から、首をゆっくりと右へ一回転させます。続いて上を向いた状態から左に一回転させます。

  4. 顔を正面に戻し、今度は正面を向いたまま頭をゆっくり右に倒し、5〜10秒間静止します。続いて左に倒します。

※必ずこの順序で行ってください。最初に「4」の動きを行うと、首が「ボキッ」「バキッ」と大きな音を立てることがあります。よくこうした音を立てている人を見かけますが、音が大きいほど頚椎(首の骨)に大きな衝撃を与えます。これを続けていると頚椎が損傷し、最悪、頚椎の内部を通る中枢神経「脊髄」が圧迫されて、体の麻痺などの重篤な障害が生じる危険性があるので絶対にやめましょう。

2-4.肩のストレッチ

イラスト:肩の柔軟体操・ストレッチ

やり方@

  • 図のように右腕を胸の前に伸ばし、左腕で下から抱え込んで右腕を胸の方に引き寄せます。続いて左腕も行います。
やり方A

  • 右腕を真上に上げたら、腕が首の後ろにくるようにひじを曲げます。左手を使って右ひじを下に押します。この時、顔を起こして正面を向くようにするとより効果的です。続いて左腕も行います。
やり方B

  • 両肩を耳に近づけるように持ち上げます。力が入った状態で3〜5秒程度キープし、そのあと脱力して肩をストンと落とします。これを5〜10回繰り返します。
やり方C

  • 両腕を真上に伸ばして手を組みます。そのまま手のひらをぐるっと裏返し、上に向かって伸びをします。そのままの姿勢で体を左右に倒すと、体の横側(体側)や腰を伸ばすこともできます。

2-5.胸や背中のストレッチ

イラスト:胸・背中の柔軟体操・ストレッチ

やり方@

  • 頭の後ろで両手を組みます。そのまま両ひじを左右に開いていきます。数秒キープした後にひじをたたんで元の状態に戻ります。
やり方A

  • 両腕を腰の後ろに回して手を組みます。そのまま両腕を上に持ち上げていきます。数秒キープしたら下に下ろします。
やり方B

  • 両腕を正面にまっすぐ伸ばして手を組みます。そのまま"おへそ"をのぞき込むように背中を丸めていき、同時に両腕を前に伸ばせるだけ伸ばします。イスに座ったままでも行えます。

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