10代の少年少女に発症する腰痛について

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腰痛は子どもにも発症する

腰痛というと一般的には働き盛りの大人、肥満ぎみの人、腰の曲がった高齢者などに多く起こるものと考えられています。
実際そのとおりなのですが、思春期以降の10代の若者にも腰痛が現れることがあります。

子どもに発症する腰痛は、その原因によって大きく3種類に分けることができます。それぞれどんな子どもに発症しやすいのか、痛みの特徴、治療法などについて解説します。

<目 次>

  1. 筋肉疲労によるもの
  2. 疲労骨折によるもの
  3. 背骨の異常によるもの

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1.筋肉疲労による腰痛

子どもは本来、大人に比べてケガや疲労の回復が早く、筋肉を痛めても大抵はすぐに良くなるため、腰痛と認識されるほどひどくなることは滅多にありません
それでも「日常的にスポーツを行っている子ども」は腰痛を訴えることがります。とりわけよく見られるのは、筋肉の使いすぎで、筋肉そのものや筋肉を包む筋膜が炎症を起こし、それが腰痛となって現れる例です。いわゆる「筋肉痛」です。筋肉疲労による腰痛は筋・筋膜性腰痛と呼ばれます。

◆痛みなどの特徴

筋肉痛が原因であれば、腰に鈍い痛みやだるさ、コリなどを感じ、特に、背筋に負荷がかかる「前かがみ」や「中腰」の姿勢をとった時に痛みやすい傾向があります。腰を使わず安静にしている時は痛みはありません。
打撲、ねんざなどのケガが原因の場合は、痛みが強めで、患部を押したり叩いた時にも痛むのが特徴です。

◆対策・治療

激しい運動やスポーツを控えていれば、基本的には数日から長くても1週間程度で完治するので、あまり心配はいりません。痛みが気になるようなら、シップ薬など炎症を抑える塗り薬や貼り薬を使えば、症状が和らぎ、回復も早まります。
痛みがあまりに激しかったり、数日たっても痛みが軽くならない場合は、肉離れなどの重篤な筋肉障害を起こしている可能性があるので、すみやかに整形外科を受診しましょう。


2.疲労骨折による腰痛

腰椎(腰部の背骨)の構造
腰椎・椎骨・椎間関節

子どもは10代前半くらいまでは骨や筋肉がまだ成長過程でしっかり出来上がっておらず、大人のように丈夫ではありません。そのため運動のしすぎによって負荷が蓄積すると、骨が疲労骨折することがあります。
疲労骨折によって腰痛が起こるのは、腰椎を構成する骨(椎骨)同士の連結部分である「椎間関節」にヒビが入ったり分離してしまうケースです。背骨の一部が横方向にズレて痛みを生じるもので、腰椎分離症・すべり症といいます。


背中をそらすスポーツ

適切な休養をとらずに激しい運動を続けた時に起こりやすく、「20歳以下の成長期の若者、特に10〜14歳の子ども」に多く見られる障害です。特に、体操、バレエ、野球、バドミントン、テニス、バレーボールなど、背中を瞬間的に大きく反る動きが多いスポーツは、腰椎に過剰な負担がかかるため起こりやすいです。
スポーツを日常的に行っている成長期の子どもに腰痛がみられる場合、原因の大半は腰椎分離症・すべり症であるとされています。


◆痛みなどの特徴


  • 腰を後ろに反らせると痛みが強まる
  • 腰の鈍い痛み、だるさ、重さ、疲れなどを感じる
  • 長時間立ち続けたり、激しいスポーツや重労働をすると痛みが強まる
  • 腰の真ん中あたりの骨を押すと痛む

◆対策・治療

通常の骨折と同じように、骨折箇所である腰をコルセットなどで固定し、骨がくっつくまでは運動やスポーツは控えます。完全に治るまで3、4ヶ月かかりますが、完治後は骨折前と同じく運動できます。痛みを我慢して運動を続けると骨折をこじらせてしまうので、子どもが腰の違和感を訴えたら、できるだけ早く整形外科で診察を受けることが大切です。


3.背骨の異常による腰痛

背骨の左右の歪み

骨や筋肉が成長過程にある子どもの中には、成長するにつれて背骨を構成する骨が変形し、背骨が左右に大きくゆがむ病気を発症する人がいます。これを脊椎側弯症(脊柱側弯症)といいます。

発症時期は、乳幼児期、学童期、思春期と様々です。学童期、思春期の子ども、特に10代の女子や肥満児に多く見られ、成長とともに徐々に進行します。原因不明のケースが多く、生まれつきの脊椎の異常、脊髄や筋肉の異常、遺伝障害などが原因となる場合もあります。

◆痛みなどの特徴


  • 裸になって背中を後ろから見た時に、通常はまっすぐなはずの背骨が"S字状"または"逆S字状"に曲がっている
  • 体がゆがむため、前屈した時などに左右の肩や背中の高さが明らかに違う
脊柱側弯症の判別

病気の初期や症状が軽い場合は、痛みなどの自覚症状がないことが多く、学校の検診や他人からの指摘で背骨の異常に気づくことが多いです。症状がある程度進行すると、腰や背中の痛みがでてきます。重症になると、心臓や肺が圧迫されて呼吸困難などの心肺機能の障害が起こることもあります。

◆対策・治療

背骨のゆがみが軽度であれば、コルセットなどの装具をつけてゆがみを矯正する「装具療法」、矯正体操を行う「運動療法」、骨を上下に引っ張る「牽引療法」などを行っていきます。治療期間は長くなりがちで、場合によっては背骨の成長が終わる17〜18歳まで続けられるため本人にも家族にも根気が必要です。
こうした治療で効果がなかったり、ゆがみが重度の場合は、金属のネジやプレートを体内に埋め込み骨を固定して矯正する「脊柱側弯矯正手術」を行います。

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