胆石症で腰が痛むケース

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『胆石症』の詳細 - 症状・原因・治療法

腰痛を引き起こす可能性のある病気や障害の一つに「胆石症(たんせきしょう)」があります。
ここでは、その特徴や腰痛との関連について解説します。

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1.胆石症が疑われる症状

腰の痛みのほかに、以下の様な症状・特徴が見られる場合、胆石症が発症している可能性があります。

痛む箇所
胆石症によって痛む部位

  • みぞおちから右わき腹上部にかけての激しい痛み
    (痛みは背中や肩にかけて広がりやすい)
  • お腹の張った感じ(膨満感)
  • 吐き気・嘔吐、発熱など

最も特徴的な症状は、発作的に突然起こる"みぞおちから右脇腹にかけての激痛"です。
痛みは右肩や右背中まで響き、時には胸や腰にまで及ぶこともあります。
脂っこいものをたくさん食べた2〜4時間後に痛み始めることが多く、数十分から数時間続いた後にすっかりなくなってしまいます。痛みがずっと消えないようなら、胆石症以外の原因である可能性が高いです。

激しい腹痛は「胆石発作」と呼ばれ、発作が起きた時以外はほとんど症状はありません。発作の間隔には個人差があり、1ヶ月に数回や、数年に1回など様々です。

その他の症状としては、お腹の張り、発熱、吐き気・嘔吐、疲れやだるさ、黄疸、白い便などがあります。

◆症状が出ないことのほうが多い

胆石発作などの症状が出るのは胆石のある人全体の1/3程度で、残り2/3は症状が現れません。無症状の人が有症状に変わるのは年1〜2%と、ほんのわずかです。


2.胆石症とは? - 特徴や原因

<胆嚢(たんのう)について>
肝臓では脂肪の消化吸収を助ける「胆汁(たんじゅう)」という液体が作られ、「胆管」という管を通って「胆嚢」と呼ばれる袋状の器官に蓄えられます。胆管と胆嚢をあわせ「胆道(たんどう)」と呼びます。
食事をすると、胆嚢にたまった胆汁が胆管をとおって十二指腸に分泌されます。

消化器系の器官
消化器系の全体解剖図
胆嚢の構造
胆のうのイラスト図解

胆汁の通り道である胆道内で、胆汁の成分が凝縮されて固まり、石(胆石)ができる病状を胆石症といいます。
石ができた箇所によって、「胆嚢結石」、「胆管結石」、「肝内胆石」などと区別して呼ばれます。
発生の割合は、女性が男性の約2倍と多めです。

胆嚢内の胆石

◆胆石ができる原因

胆石はその成分の違いから幾つかの種類に分けられます。
「コレステロール胆石」、「ビリルビンカルシウム胆石」、「黒色胆石」が多く見られ、ほかにも炭酸カルシウムや脂肪酸カルシウムを主成分とする胆石などがあります。

近年では食生活の欧米化に伴いコレステロール胆石が増えてきて、全体の約70%を占めます。
「食べ過ぎ」、「脂肪の摂り過ぎ」、「肥満」、「ストレス」、「不摂生」、「体質」などが原因で、胆汁中に溶けたコレステロールの濃度が高くなりすぎると結晶化して石になります。

ビリルビンカルシウム胆石は、胆道内で細菌感染が起こり、胆汁中のビリルビンがビリルビンカルシウムに変化して固まったものです。黒色胆石は、体内で自分の血液が溶けて発生すると考えられ、大きな手術を受けた数年後にできることが多いといわれます。

◆合併症について

胆石発作が起きている状態を放置すると、胆嚢や他の消化器系の病気を併発するケースがよく見られるため、早めに治療することが望ましいです。

  • 急性胆嚢炎
    胆嚢内で細菌感染による炎症が起こることで発症します。結石があると細菌が繁殖しやすくなります。

  • 黄疸や胆管炎
    胆石によって胆嚢内の胆汁の流れが悪くなり胆汁が肝臓の中あふれると、血液中の胆汁成分が増えることで生じます。胆管炎とは細菌感染などにより胆管に炎症が起こるもので、重症化すると、敗血症ショック状態になることもあります

  • 胆嚢がん
    胆石症によって発症するだけでなく、逆に胆嚢がんの患者の7〜9割が胆石症を合併するなど、2つの病気の関連性の高さが注目されています

  • 膵炎(すいえん)
    十二指腸への出口であるファーター乳頭が結石でふさがれると、膵液が排出されにくくなり炎症が起こります
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3.診断・治療・予防

◆診断

病院での診察・診断

最も良く行われるのが「腹部超音波検査(エコー検査)」です。
胆石の有無をほぼ確実に確認できるため、診断確定の決め手になります。
そのほか、血液検査やX線検査(レントゲン)、CTスキャンが行われることもあります。

◆治療・予防

胆石があっても自覚症状が出ていないなら、治療を行わずに経過を観察します。

胆石発作などの症状が見られる場合は、まず発作が起きないような処置をします。胆汁の分泌を促す脂肪分の多い食事は避け、場合によっては絶食して抗生物質の点滴注射をします。発作が起きた時は鎮痛剤で痛みを抑えます。
同時に胆石を取り除くための治療を行っていきます。胆石の成分や大きさに応じて様々な治療法が採られます。


  • 胆石溶解療法
    石を溶かす薬を服用する方法で、直径1cm以下の小さなコレステロール胆石に対して有効です。半年〜2年程度の長い治療期間が必要で、その間に効果が出なければ他の治療法をとります

  • 手術療法
    お腹を開いて胆石を摘出する手術を行います。手術の中では簡単な部類に入ります。最近ではお腹を大きく切らずにすむ内視鏡を使った「腹腔鏡下胆嚢摘出術」がよく行われています。傷口が小さく回復が早いなどの利点がありますが、胆石発作を何度も繰り返した人には行えないこともあります

  • 破砕療法
    胆管内に内視鏡を挿入し、レーザー光線などで石を細かく砕く治療法です。石の破片は便と一緒に排出されます

  • 体外衝撃波胆石破砕療法
    体外から衝撃波を送って石を砕く治療法です。全ての胆石に有効なわけではなく、費用が高額といった問題もあります

合併症が見られる場合は、その治療も同時に行います。腹膜炎を起こしている場合は胆嚢の摘出手術を行うこともあります。

◆予防

規則正しい生活を送り、胆石の発生と巨大化を防ぐことが大切です。
特に食事内容には気を配る必要があります。脂肪分の多い食物はほどほどにし、食物繊維の多い食物を多くとることを心がけましょう。また、暴飲暴食を避け、食事時間も不規則にしないことです。
ストレスも発作を誘発する可能性があるので、ストレスをためすぎないよう定期的に発散することが重要です。肥満や糖尿病は胆石につながる可能性があるので早めに改善しましょう。

胆石症を予防する生活習慣

4.胆石症データ

【受診科】

  • 消化器内科/消化器外科/消化器科/内科

【胆石症の原因となる病気】

  • 糖尿病、胆嚢がんなど

【胆石症が原因で起こる病気(合併症)】

  • 胆嚢炎、胆管炎、胆嚢がん、膵炎など
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