症状から腰痛の原因を探る - 「背中・肩・首の異常」
上半身(背中・肩・首)に痛みや不快感を生じる病気・障害
腰痛を引き起こす病気や障害の中には、以下のような「上半身の違和感や不快感」も伴うものがあります。自分の症例に当てはまるものを探して原因を探ってみましょう。
※文中の「病名」を選択すると、詳しい解説ページに移動します。
現れる症状や程度には個人差がありますので、あくまで参考とするに留めてください。
<目 次>
1.背中の痛みやこわばり
◆筋・筋膜性腰痛(筋性腰痛症)
腰まわりの筋肉疲労による痛み(筋肉痛・挫傷・捻挫・肉離れなど)
- 腰あるいは腰から背中にかけての痛み
- 前かがみになった時に腰が痛むことが多い
- 腰の疲れ、張り、コリやだるさ、重苦しさなどの違和感・不快感
◆変形性腰椎症(変形性脊椎症)
腰部の背骨(腰椎)が加齢などで変形するもの
- 腰がだるい、重い、鈍い痛みを感じる
- 腰を後ろに反らせた時や、動作の始まりや疲れた時に痛みが強まる
- 入浴中は症状がとても和らぐ
- 40歳以降の高齢者に多く発症する
- 肩こり、背中やお尻の痛み、足のしびれや冷え
- 加齢や長年腰を使い続けたことによって骨が変形し、神経などの周辺組織を刺激する
◆化膿性脊椎炎
脊椎(背骨)に細菌が侵入して炎症を起こし膿(うみ)がたまる病気
- 腰や背中の突然の激痛
- 動かず安静にしていても痛み、患部をたたくと非常に痛む
- 寒けがして熱が出ることも
- 病気などで化膿した部分の細菌が血管を通じて感染する
- 膀胱炎などの泌尿器や生殖器系の病気で生じた炎症が血管を通じて広がる
◆脊椎カリエス(結核性脊椎炎)
結核の原因となる結核菌が脊椎に感染して炎症を起こす病気
- 腰や背中の中心に鈍い痛みやコリがあり、患部を押したり叩いた時にも痛む
- 体がだるく疲れやすい、食欲がなく体重が減る。熱が出ることも
- 結核菌の感染(周囲の結核患者や過去に感染した結核の残存菌から感染)
◆脊髄腫瘍・脊椎腫瘍
脊髄(中枢神経)や脊椎(背骨)にできる、良性または悪性の腫瘍
- 腰や背中に鈍い痛みがしつこく長く続く。突然激しく痛むケースもある
- 動かず安静にしていても痛み、患部を押したり叩いた時にも痛む
- 排便や排尿に障害が見られることもある
- 悪性腫瘍(がん)の場合、他の臓器からの転移がほとんど。
◆脊椎側弯症(脊柱側弯症)
通背骨(脊椎)が左右に歪んて曲がってしまう病気
- 腰や背中の痛み
- 背中を後ろから見た時に、背骨が左右に曲がっていたり、左右の肩・背中・腰の高さが違う
- 姿勢の悪さ、筋肉の発育不良、肥満、椎間板ヘルニアなどの病気など。原因不明のものは成長期の子どもに多い(特に10代の女子や肥満児)
◆強直性脊椎炎
背骨や骨盤の関節組織が何らかの原因で骨に変わり、骨同士がくっついてしまう病気
- 腰や背中が重たく感じたり、固くこわばって動かしにくい。または筋肉痛のような痛みがある
- 症例の少ない珍しい病気。患者の大半が10〜20代の若者
- 詳しい原因は不明。遺伝的な要因があると考えられている
◆腹部大動脈瘤
腹部の大動脈の一部がふくらんで瘤(こぶ)のようになる病気
- 腰から背中にかけての痛み
- 50〜60歳前後の中高年の男性に多い
- 大半は動脈硬化が元で起こる。動脈硬化の主な原因は、高いコレステロール値や中性脂肪値、糖尿病、高血圧、高脂血症、運動不足、ストレス、肥満、喫煙、加齢など
◆胃潰瘍(いかいよう)・十二指腸潰瘍
胃や十二指腸の粘膜が溶けてえぐられたような状態(潰瘍)になる病気
- 空腹時や食後の腹痛(食事中は痛みが軽くなる)
- 背中から腰にかけての痛み(体の左側が傷みやすい)
- ピロリ菌感染によるものが多い。精神的ストレス、胃液の過剰分泌、ステロイド剤や抗がん剤などの薬物も要因
◆胃がん
胃に発生する悪性腫瘍
- 空腹時や食後の腹痛(みぞおちあたりが鈍く痛む)。悪化すると食事に関係なく痛む
(まれに胸、背中、腰が痛むこともある) - お腹の張り、胃もたれ、胸焼け、ゲップ、吐き気
- 50〜60歳代が患者の約60%を占め、高齢者ほど発症しやすい
- 不規則な食生活、早食い、食べ過ぎ、「塩分や脂肪分・熱すぎる飲食物・米飯等」の摂り過ぎ、焦げた食物、過度の飲酒・喫煙などが危険因子とされる
◆肝臓がん
肝臓に発生する悪性腫瘍
- お腹の右上の痛みやしこり
- 背中や腰の右側の痛み
- 肝炎(肝臓の炎症)の長期化→肝硬変→肝臓がんと症状が悪化して発症する「原発性肝がん」と、他の臓器にできたがんが転移した「転位線肝がん」がある。
◆膵炎(すいえん)
膵臓から分泌される消化酵素によって膵臓自体が消化されて炎症を起こす病気
- みぞおちから左わき腹にかけての急な激痛。左肩や左背中まで響くことが多く、時には胸や腰にまで及ぶ。
痛みは食事をすると強まり、絶食すると軽くなる。また前かがみになると和らぐ傾向がある
- アルコールや胆石が原因のものが全体の約2/3を占める。体調が悪い時のお酒や脂肪の多い食事のとりすぎがきっかけで起こる
◆膵臓(すいぞう)がん
膵臓にできる悪性腫瘍
- みぞおちから左わき腹にかけての痛み。背中や腰が痛むこともある
- 高齢者ほど多く発症する
- 詳しい原因は不明。飲酒・喫煙の習慣、肉(脂肪)の食べ過ぎ、慢性膵炎、胆石症、糖尿病などが危険因子と考えられる
◆胆嚢炎(たんのうえん)
胆嚢が細菌に感染して炎症を起こした状態
- 食事後の"みぞおち"から右わき腹にかけての急な激痛。痛みは右肩や右背中まで響くことが多く、時には胸や腰にまで及ぶ
- 38℃以上の高熱、寒気、吐き気、嘔吐
- 主に胆嚢内に石(胆石)ができて細菌が増殖して起こる。石は、食べ過ぎ、脂肪の摂り過ぎ、肥満、ストレス、不摂生、体質などが原因でできることが多い
◆胆石症(たんせきしょう)
胆のうや胆管内に石(胆石)ができる病気
- 食事後の"みぞおち"から右わき腹にかけての急な激痛。痛みは右肩や右背中まで響くことが多く、時には胸や腰にまで及ぶ
- お腹の張り、発熱、吐き気、疲れやだるさ、眼や皮膚が黄色っぽくくすんだり濃い茶色の尿が出る(黄疸)、白い便など
- 食べ過ぎ、脂肪の摂り過ぎ、肥満、ストレス、不摂生、体質などが原因でできる事が多い
◆尿路結石(腎結石・尿管結石・膀胱結石・尿道結石)
尿の通り道に石(結石)ができる病気
- 背中からわき腹にかけての激しい痛み(鈍い痛みだけのこともある)
- 冷や汗、吐き気、嘔吐
- 尿の異常(血尿が出る、尿の回数が増える、排尿時の痛み、尿が出にくい、残尿感など)
- 男性の発症率が高く、30〜50歳代に多い
- 尿路の異常などで尿の流れが悪くなったり、水分不足などで尿のカルシウムの濃度が高まると石ができやすくなる
◆腎盂腎炎(じんうじんえん)
腎臓が細菌に感染して炎症を起こした状態
- わき腹や腰の鈍い痛み
- おしっこの回数が増えたり(頻尿)、排尿痛や残尿感がある
- 高熱、悪寒、ふるえ、だるさなど、かぜによく似た症状がでる
- 強いめまいや頭痛、背中の痛みが見られることもある
- 膀胱内の尿が腎臓に逆流して細菌感染する(膀胱炎、尿道の結石、前立腺肥大、尿道狭窄などの病気で逆流しやすい)
◆水腎症(すいじんしょう)
腎臓に尿がたまる病気
- 背中やわき腹から腰、下っ腹にかけての痛み
- 妊婦に発症することもある
- 尿路の形の異常、結石、病気による尿路の炎症などが原因で尿の流れが悪くなることで生じる
◆腎梗塞(じんこうそく)
腎臓の動脈がふさがって血液が流れなくなり、腎臓の一部または全部が壊死してしまう病気
- 腰から背中にかけての痛み
- 血尿が出たり、尿の量が減る
- 心臓の病気や不整脈によってできた血栓(血の塊)が腎動脈につまる。動脈硬化も危険因子
◆腎静脈血栓症
腎臓の静脈に血の塊(血栓)ができて血液の流れが悪くなったり血管が詰まってしまう病気
- 尿の異常(尿の量が少ない、全く出ない、血尿やたんぱく尿など)
- 腰や背中の痛み、発熱
- 血液が固まりやすくなる「ネフローゼ症候群」、血液の病気、病気による血管の障害、動脈硬化など
◆骨粗鬆症(こつそしょうしょう)
骨の密度が減り、骨の内部がスカスカになってもろくなる病気
- 腰や背中に長くしつこく続く痛みがある
- ちょっとした衝撃で骨折する
- 以前より背中や腰が丸まってきた(曲がってきた)
- 閉経後の50歳以上の女性に圧倒的に多く、高齢になるほど発症しやすい。妊娠中や授乳期の女性にも見られることもある。男性にはほとんどみられない
- 加齢、カルシウム不足、運動不足、痩せすぎ、飲酒・喫煙、ストレスなど。特に月経が終わった更年期(50歳前後)以降の女性は骨量が大きく減少する
2.背中が丸まる、背骨が後ろに曲がる、背骨が左右にゆがむなど
◆腰椎分離症・すべり症
椎骨を支える椎間関節が骨折して分離したり、分離したことで椎骨が前方にずれる障害
- 腰が疲れる、だるい、重い、鈍い痛みを感じる
- 腰を後ろに反らせた時や、長時間立ち続けたり、激しいスポーツや重労働をした時に痛みが強まる
- スポーツをする20歳以下の成長期の若者、特に10〜14歳の子どもに多く見られ、骨折を伴わないケースは40歳以上の中年女性に多い
- 椎間関節の骨折。若者の場合は激しい運動が原因で、中年層の場合は組織の老化が原因で骨折する
◆脊椎カリエス(結核性脊椎炎)
結核の原因となる結核菌が脊椎に感染して炎症を起こす病気
- 腰や背中の中心に鈍い痛みやコリがあり、患部を押したり叩いた時にも痛む
- 体がだるく疲れやすい、食欲がなく体重が減る
- 発熱、安静時の痛み、背骨が後ろに曲がる
- 結核菌の感染(周囲の結核患者や過去に感染した結核の残存菌から感染)
◆脊椎側弯症(脊柱側弯症)
通背骨(脊椎)が左右に歪んて曲がってしまう病気
- 腰や背中の痛み
- 背中を後ろから見た時に、背骨が左右に曲がっていたり、左右の肩・背中・腰の高さが違う
- 姿勢の悪さ、筋肉の発育不良、肥満、椎間板ヘルニアなどの病気など。原因不明のものは成長期の子どもに多い(特に10代の女子や肥満児)
◆骨粗鬆症(こつそしょうしょう)
骨の密度が減り、骨の内部がスカスカになってもろくなる病気
- 腰や背中に長くしつこく続く痛みがある
- ちょっとした衝撃で骨折する
- 以前より背中や腰が丸まってきた(曲がってきた)
- 閉経後の50歳以上の女性に圧倒的に多く、高齢になるほど発症しやすい。妊娠中や授乳期の女性にも見られることもある。男性にはほとんどみられない
- 加齢、カルシウム不足、運動不足、痩せすぎ、飲酒・喫煙、ストレスなど。特に月経が終わった更年期(50歳前後)以降の女性は骨量が大きく減少する
3.肩や首の痛み・こわばり、肩こり
◆変形性腰椎症(変形性脊椎症)
腰部の背骨(腰椎)が加齢などで変形するもの
- 腰がだるい、重い、鈍い痛みを感じる
- 腰を後ろに反らせた時や、動作の始まりや疲れた時に痛みが強まる
- 入浴中は症状がとても和らぐ
- 40歳以降の高齢者(特に男性)に多く発症する
- 肩こり、背中やお尻の痛み、足のしびれや冷え
- 加齢や長年腰を使い続けたことによって骨が変形し、神経などの周辺組織を刺激する
◆リウマチ性多発筋痛症
ウイルスや細菌などの外敵から体を守る"免疫システム"に異常が発生する病気「膠原病」の一種
- 首から肩、あるいは腰などに強い痛みと"こわばり"がある
- 関節の痛み、全身のだるさ、体重減少、食欲低下、微熱など
- ほとんどは50代〜60代以上の高齢者に発症する原因不明の病気
◆膵炎(すいえん)
膵臓から分泌される消化酵素によって膵臓自体が消化されて炎症を起こす病気
- みぞおちから左わき腹にかけての急な激痛。左肩や左背中まで響くことが多く、時には胸や腰にまで及ぶ。
痛みは食事をすると強まり、絶食すると軽くなる。また前かがみになると和らぐ傾向がある
- アルコールや胆石が原因のものが全体の約2/3を占める。体調が悪い時のお酒や脂肪の多い食事のとりすぎがきっかけで起こる
◆胆嚢炎(たんのうえん)
胆嚢が細菌に感染して炎症を起こした状態
- 食事後の"みぞおち"から右わき腹にかけての急な激痛。痛みは右肩や右背中まで響くことが多く、時には胸や腰にまで及ぶ
- 38℃以上の高熱、寒気、吐き気、嘔吐
- 主に胆嚢内に石(胆石)ができて細菌が増殖して起こる。石は、食べ過ぎ、脂肪の摂り過ぎ、肥満、ストレス、不摂生、体質などが原因でできることが多い
◆胆石症(たんせきしょう)
胆のうや胆管内に石(胆石)ができる病気
- 食事後の"みぞおち"から右わき腹にかけての急な激痛。痛みは右肩や右背中まで響くことが多く、時には胸や腰にまで及ぶ
- お腹の張り、発熱、吐き気、疲れやだるさ、眼や皮膚が黄色っぽくくすんだり濃い茶色の尿が出る(黄疸)、白い便など
- 食べ過ぎ、脂肪の摂り過ぎ、肥満、ストレス、不摂生、体質などが原因でできる事が多い
◆月経痛(生理痛)・月経困難症・月経前症候群
月経時に起こる様々な不快症状
- 頭痛、腹痛(胃痛)、腰痛、肩こり、乳房の張りと痛み
- むくみ、冷え、めまい、のぼせ、貧血、吐き気、嘔吐、便秘、下痢
- イライラ、憂うつ、焦燥感、怒りっぽい、集中力の低下(注意力散慢)、情緒不安定
- 月経(生理)が始まって女性ホルモンの分泌が増えたりホルモンバランスが変化するため。更に疲れやストレスが重なると症状が悪化する
◆更年期障害
50歳前後で月経が終わる「更年期」を迎えると、女性ホルモンの変化で心身につらい症状がでる
- 頭痛、めまい、耳鳴り、肩こり、腰痛、動悸、肌荒れ、肌のほてり、むくみ、のぼせ、発汗、手足の冷え
- イライラ、気分の落ち込み、不安感、不眠、蟻走感
- 生理がこない、生理が遅れる、生理周期が不安定になるなどの「月経異常(月経不順)」
- 月経の終わる「閉経」を迎えた50歳前後の女性に起こるが、疲れやストレスによって20〜30歳代の若い女性にも見られる(若年性更年期障害)
- 閉経後の更年期(50歳前後)の女性ホルモンの減少