胃潰瘍・十二指腸潰瘍で腰が痛むケース

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胃潰瘍と十二指腸潰瘍の詳細 - 症状・原因・治療法

腰痛を引き起こす可能性のある病気や障害の一つに胃潰瘍(いかいよう)と十二指腸潰瘍(じゅうにしちょうかいよう)があります。
ここでは腰の痛みとの関連について解説します。

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1.胃潰瘍や十二指腸潰瘍が疑われる症状

腰の痛みのほかに、以下の様な症状・特徴が見られる場合、胃潰瘍や十二指腸潰瘍が発症している可能性があります。

みぞおち(上腹部)の腹痛


  • お腹がすいている時や食事の後に腹痛が起こる
    (食事中は痛みが軽くなる)
  • 背中から腰にかけての痛み
  • 胸焼け、ゲップ、吐き気や嘔吐、食欲がない
  • 貧血、血をはく(吐血)、黒い便が出る(下血)

最も特徴的な症状は、"空腹時の腹痛(胃痛)"です。
「みぞおち」や「へそ」のあたりが痛くなります。食事をしている間は一時的に痛みが軽くなりますが、食後2、3時間たつとまた痛くなります。

背中から腰にかけての痛みもよく見られます。特に夜寝ている時に上腹部(みぞおち)や背中が痛みます。背中や胸が痛むときは潰瘍がひどくなっている場合が多く、痛みは患部に近い「体の左側」に見られる傾向があります。

◆その他の症状

胸焼けやゲップもよく見られる症状です。ほかには吐き気や食欲不振、貧血も起こります。
潰瘍がひどくなると、臓器から出血して「吐血」や「下血」がおきます。吐血は胃酸と混ざった茶色っぽい血を吐き、下血は黒いタール状の便がでます。大量に出血すると脈拍が早まり、貧血、冷や汗、血圧の低下なども生じて意識を失ったり、動脈が損傷するとショック状態になり死亡することもあります。こうした出血をともなう症状が現れたら特に注意が必要です。


2.胃潰瘍、十二指腸潰瘍とは? - 特徴や原因

胃や十二指腸の粘膜が、なんらかの原因によって溶けてえぐられたような状態になったものが胃潰瘍十二指腸潰瘍です。

粘膜の上層部分がなくなった状態を「潰瘍(かいよう)」と呼び、下層もなくなって臓器の壁に穴があいた状態を「穿孔(せんこう)」といいます。

潰瘍と穿孔
イラスト図解:胃潰瘍・穿孔

潰瘍を何度も繰り返すと、その傷跡が変形して、胃と十二指腸の境目近くの「幽門部」や「十二指腸球部」が狭くなることがあります。すると食べ物が通りにくくなり、胃もたれ、胸焼け、吐き気、ひどい場合は栄養障害によって痩せてくるといった症状が現れます。

潰瘍がひどくなって完全に穴があいた状態(穿孔)になると、みぞおち付近の突然の激痛が起こり、徐々にお腹全体や背中にまで広がり、刺すような強い痛みが長く続きます。穴から出血して吐血や下血も起こり、発熱も見られるようになります。穿孔は胃潰瘍よりも十二指腸潰瘍のほうが多く起こります(約2倍)。

穿孔が進んで、肝臓や胆嚢などの周辺臓器にも穴があくと、肝膿瘍、急性胆嚢炎、急性胆管炎などの病気を発症することがあります。また、穴から消化物や胃液が流れ出ることで腹膜炎を起こして死亡することもあります。

◆潰瘍ができる原因

多くの場合、ピロリ菌感染が原因であると考えられています。
胃全体にピロリ菌が感染すると、胃粘膜が萎縮して潰瘍が発生します。また、胃酸が過剰に分泌されないようにする物質の働きをピロリ菌が阻害してしまうため、潰瘍が発症しやすくなるとも言われます。

薬物が原因のケースもよく見られます。「非ステロイド性抗炎症薬」、「ステロイド薬」、「抗がん剤」、「骨粗しょう症の治療薬」などがあります。
そのほか、精神的なストレス、胃液の過剰分泌、血流障害なども要因の一つで、これらが複雑にからみあった結果、潰瘍が発生しやすくなります。

また、一部の薬の服用によって潰瘍が重症化することがあります。
抗血小板薬としてのアスピリン、腰痛や肩こりに効果のあるジクロフェナク、ロキソプロフェン、イブプロフェンなどの鎮痛薬を長期間服用すると胃の粘膜を刺激するため、酸分泌抑制薬や胃粘膜保護薬は必ず併用しましょう。

◆こんな人に発症しやすい

胃潰瘍は40〜50代に多くみられる病気です。それに比べ、十二指腸潰瘍は30代以下の若い世代に発症しやすく、男性が女性の2倍と多めです。身体的・精神的ストレスによって乳児や児童に発症することもあります。

不安やストレス

ストレスの多い人や不規則な生活を送る人にも発症しやすくなります。胃潰瘍や十二指腸潰瘍はストレスで起こる病気としても有名です。
また、アルコールや消化の悪い食べ物、刺激の強い食べ物(熱すぎるもの、冷たすぎるもの、辛いもの、炭酸飲料、コーヒーなど)は胃液を大量に分泌させます。食べ過ぎ・飲み過ぎやタバコも胃酸の分泌を促します。

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3.診断・治療・予防

◆診断

バリウム検査による胃画像

胃のX線検査(消化管造影検査・バリウム検査)による胃の画像から潰瘍や穿孔の状態を確認したり、内視鏡検査で胃の内部を直接モニターで確認するなどして診断を確定します。
その他、出血が起きているか確認するための血液検査が行われることもあります。

◆治療

ピロリ菌を除菌する薬物療法が主になります。
一週間ほど抗菌薬を投与してピロリ菌を除菌すれば、大抵の場合、潰瘍が治るだけでなく再発の可能性もかなり低くなります。ピロリ菌が除菌されないと半数の人に潰瘍が再発するといわれます。そのほか胃酸や消化酵素の分泌や消化力を抑えるための薬や、場合によってはストレスを軽減させるための抗不安薬なども服用されます。

潰瘍から出血がある場合は、内視鏡を用いた腹腔鏡下手術などで止血してから除菌を行います。
胃壁に穴が開く「穿孔」が起きている場合も原則として手術を行います。穿孔がひどくて痛みが激しかったり、他の病気を合併している場合は緊急手術が必要になることもあります。

胃に負担をかける要因

胃潰瘍・十二指腸潰瘍は再発が多い病気です。症状の改善と再発防止のために規則正しい生活も不可欠です。1日3食を決まった時間にとり、胃が長時間、空の状態にならないようにします。メニューは消化のよいものを中心とし、硬いもの、油分の多いもの、食物繊維の多い食品など、消化の悪いものは避けます。また、辛いもの、熱すぎるもの、冷たすぎるもの、アルコール、炭酸飲料、タバコなどの刺激物も控えます。
また、普段から睡眠は十分にとり、「運動をする」、「趣味に打ち込む」、「リラックスできる時間を作る」などの健康的なストレス解消法を持つようにします。

◆予防

前述したような胃酸の分泌を増やす要因を減らすこと以外に、30歳〜になったら毎年会社の健康診断や市民検診で胃の検査を受けるようにしましょう。主な検査法には、胃カメラによる検査やバリウム検査があります。


4.胃潰瘍、十二指腸潰瘍データ

【受診科】

  • 消化器内科/消化器外科/内科/消化器科/胃腸科

【胃潰瘍、十二指腸潰瘍が原因で起こる病気(合併症)】

  • 腹膜炎、肝膿瘍、急性胆嚢炎、急性胆管炎など
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消化器系の器官
消化器系の全体解剖図

胃・十二指腸の断面と名称イラスト図解:胃の各部名称
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