子宮頸管炎で腰が痛むケース

『子宮頸管炎』の詳細 - 症状・原因・治療法
腰痛を引き起こす可能性のある病気や障害の一つに子宮頸管炎(しきゅうけいかんえん)があります。
ここでは、その特徴や腰痛との関連について解説します。
1.子宮頸管炎が疑われる症状
腰の痛みのほかに、以下の様な症状・特徴が見られる場合、子宮頸管炎が発症している可能性があります。
|
子宮頸管炎になると、白または黄色っぽい"おりもの"がたくさん出るようになります。
初期は痛みや"かゆみ"はあまり見られませんが、病気が長期間続いて慢性化すると、炎症が広がって腰や下腹部が激しく痛むようになります。
また、慢性化が進むと様々な炎症性の病気を合併しやすく、それらの病気の症状も現れてきます。
◆合併症について
治療を行わずに放っておくと炎症が広がって、尿道炎、子宮内膜炎、子宮付属器炎、子宮傍結合織炎、腹膜炎などを引き起こすことがあります。また、不妊症の原因になることもあります。
- 尿道炎
尿を体の外に出す「尿道」に炎症がおきた状態。尿道の痛み、排尿時の痛み、尿のほかに膿(うみ)が出るなどの症状がある。 - 子宮内膜炎
子宮の内側をおおう膜(子宮内膜)に炎症が起きた状態。下腹部の痛みや不快感、生理以外の性器出血などがみられる。 - 子宮付属器炎、腹膜炎
子宮付属器炎は卵巣や卵管に炎症が起きた状態で、下腹部の痛みや発熱がみられる。炎症が骨盤腹膜内にまで広がると骨盤腹膜炎を発症し、さらに腹部全体に広がると腹膜炎となる。
2.子宮頸管炎とは? - 特徴や原因
子宮の出入口である「子宮頚管」において、細菌感染による炎症が発生しているものが子宮頸管炎です。
感染する細菌には、連鎖球菌、大腸菌、ブドウ球菌、クラミジアなどがあります。以前は淋菌による感染が多かったのですが、現在ではあまり見かけなくなりました。
炎症の発生原因には以下のようなものがあります。
- 膣炎による炎症が子宮頸管にまで広がる
- 性交時や出産時に傷口から細菌感染
- 妊娠中絶手術時に傷口から細菌感染
- 避妊のために子宮の中に長期間挿入しておく子宮内避妊用具(IUD)の使用
3.診断・治療・予防
◆診断
患者の尿や子宮頚管の粘膜から、膣分泌物(膣液やおりもの)を一部採取して、炎症の原因となる細菌が含まれているか顕微鏡で調べます。
検査の信頼性を高めるために、人工的に細菌を増やして検査を行います(培養検査法)。血液検査で感染の有無を調べる「抗体検査」が行われることもあります。
◆治療
原因となっている細菌の種類に合った抗菌薬(抗生物質)や抗炎症薬を使って治療します。薬は内服薬のほか直接膣内に入れることもあります。
慢性化すると薬では治りにくくなるため、炎症部分を電気やレーザーで焼いたり(高周波療法)、凍結凝固させたりします(冷凍療法)。
重症時は炎症部分を切除する手術を行うこともあります。
4.子宮頸管炎データ
【受診科】
- 婦人科
【子宮頸管炎の原因となる病気】
- 膣炎など
【子宮頸管炎が原因で起こる病気(合併症)】
- 尿道炎、子宮内膜炎、子宮付属器炎、腹膜炎、不妊症、月経困難症など
【関連項目】