腰痛を引き起こす可能性のある病気や障害の一つに「胆石症(たんせきしょう)」があります。
ここでは、その特徴や腰痛との関連について解説します。
腰の痛みのほかに、以下の様な症状・特徴が見られる場合、胆石症が発症している可能性があります。
痛む箇所
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最も特徴的な症状は、発作的に突然起こる"みぞおちから右脇腹にかけての激痛"です。
痛みは右肩や右背中まで響き、時には胸や腰にまで及ぶこともあります。
脂っこいものをたくさん食べた2〜4時間後に痛み始めることが多く、数十分から数時間続いた後にすっかりなくなってしまいます。痛みがずっと消えないようなら、胆石症以外の原因である可能性が高いです。
激しい腹痛は「胆石発作」と呼ばれ、発作が起きた時以外はほとんど症状はありません。発作の間隔には個人差があり、1ヶ月に数回や、数年に1回など様々です。
その他の症状としては、お腹の張り、発熱、吐き気・嘔吐、疲れやだるさ、黄疸、白い便などがあります。
胆石発作などの症状が出るのは胆石のある人全体の1/3程度で、残り2/3は症状が現れません。無症状の人が有症状に変わるのは年1〜2%と、ほんのわずかです。
胆汁の通り道である胆道内で、胆汁の成分が凝縮されて固まり、石(胆石)ができる病状を胆石症といいます。
石ができた箇所によって、「胆嚢結石」、「胆管結石」、「肝内胆石」などと区別して呼ばれます。
発生の割合は、女性が男性の約2倍と多めです。
胆石はその成分の違いから幾つかの種類に分けられます。
「コレステロール胆石」、「ビリルビンカルシウム胆石」、「黒色胆石」が多く見られ、ほかにも炭酸カルシウムや脂肪酸カルシウムを主成分とする胆石などがあります。
近年では食生活の欧米化に伴いコレステロール胆石が増えてきて、全体の約70%を占めます。
「食べ過ぎ」、「脂肪の摂り過ぎ」、「肥満」、「ストレス」、「不摂生」、「体質」などが原因で、胆汁中に溶けたコレステロールの濃度が高くなりすぎると結晶化して石になります。
ビリルビンカルシウム胆石は、胆道内で細菌感染が起こり、胆汁中のビリルビンがビリルビンカルシウムに変化して固まったものです。黒色胆石は、体内で自分の血液が溶けて発生すると考えられ、大きな手術を受けた数年後にできることが多いといわれます。
胆石発作が起きている状態を放置すると、胆嚢や他の消化器系の病気を併発するケースがよく見られるため、早めに治療することが望ましいです。
最も良く行われるのが「腹部超音波検査(エコー検査)」です。
胆石の有無をほぼ確実に確認できるため、診断確定の決め手になります。
そのほか、血液検査やX線検査(レントゲン)、CTスキャンが行われることもあります。
【関連項目】
胆石があっても自覚症状が出ていないなら、治療を行わずに経過を観察します。
胆石発作などの症状が見られる場合は、まず発作が起きないような処置をします。胆汁の分泌を促す脂肪分の多い食事は避け、場合によっては絶食して抗生物質の点滴注射をします。発作が起きた時は鎮痛剤で痛みを抑えます。
同時に胆石を取り除くための治療を行っていきます。胆石の成分や大きさに応じて様々な治療法が採られます。
合併症が見られる場合は、その治療も同時に行います。腹膜炎を起こしている場合は胆嚢の摘出手術を行うこともあります。
規則正しい生活を送り、胆石の発生と巨大化を防ぐことが大切です。
特に食事内容には気を配る必要があります。脂肪分の多い食物はほどほどにし、食物繊維の多い食物を多くとることを心がけましょう。また、暴飲暴食を避け、食事時間も不規則にしないことです。
ストレスも発作を誘発する可能性があるので、ストレスをためすぎないよう定期的に発散することが重要です。肥満や糖尿病は胆石につながる可能性があるので早めに改善しましょう。
【受診科】
【胆石症の原因となる病気】
【胆石症が原因で起こる病気(合併症)】