ぎっくり腰で腰が痛むケース

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イラスト図解:腰背部の構造・骨格・筋肉

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『ぎっくり腰』の詳細 - 症状・原因・治療法

腰痛を引き起こす可能性のある病気や障害の一つに「ぎっくり腰」があります。
ここでは、その特徴や腰痛との関連について解説します。

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1.ぎっくり腰が疑われる症状

腰の痛みのほかに、以下の様な症状・特徴が見られる場合、ぎっくり腰が発症している可能性があります。

腰に激痛が起こる障害


  • 重いものを持ち上げたり、勢いよく立ち上がったり振り返ったり、くしゃみをしたりと、ちょっとした動作をした瞬間、突然腰に激しい痛みが走り動けなくなる
    →動かずに安静にしていれば痛みが和らいでくる

ぎっくり腰は、ふとした動作のはずみで突然に起こります。
一瞬、息ができないほどの激痛が腰に走り、ひどい時はあまりの痛みにその体勢のまま動けなくなったり、その場にうずくまってしまいます。体をちょっと動かしたり、腰に軽く触れるだけでも激しく痛みます。
動かずに楽な姿勢で安静にしていると、徐々に痛みが和らぎます。

2.ぎっくり腰とは? - 特徴や原因

腰痛は腰の痛み方によって大きく2種類に分けられます。
一つが「慢性腰痛」で、痛みはひどくないものの、鈍い痛みが長くしつこく続くものです。
もう一つが「急性腰痛」で、激しい痛みが突然起こるものです。この急性の腰痛を俗にぎっくり腰と呼びます。
正式な医学用語では、急性腰痛症突発性腰痛症といいます。

◆原因

ぎっくり腰は、よく「腰の捻挫(ねんざ)」と言われますが、腰に急で大きな痛みが起きる原因は一つではありません。

腰椎の構造
イラスト図解-腰椎のしくみ

腰の位置にある背骨「腰椎(ようつい)」は、椎骨という骨と、椎間板という軟骨組織が積み重なってできています。さらに骨と骨の間の関節「椎間関節」、周囲の腹筋や背筋などの筋肉、靭帯などが腰椎を支えるという構造になっています。

激しい痛みの多くは、こうした腰の組織が損傷することで起こります。具体的には、腰の筋肉の肉ばなれ、椎間関節のズレや捻挫、靭帯の損傷、関節を包む薄い膜(関節包)の損傷などです。

そのほか、腰椎椎間板ヘルニア骨粗しょう症による圧迫骨折脊髄の腫瘍尿路結石などが原因で突発的な激しい痛みが起こることもあります。

原因は必ずしも一つとは限らず、組織の損傷に、不安やストレスなどの心理的な要因が加わることで痛みが激しくなるなど、いくつかの要因が複雑に絡み合って痛むこともあります。

◆どんな時に起こりやすいのか

腰の捻挫やヘルニアといった障害は、「腰を頻繁に動かす」、「前かがみや中腰の姿勢」、「立ちっぱなしや座りっぱなし」など、腰の負担が大きい動作を、日常生活の中で長期間続けた結果として起こるケースが大半です。

腰の使いすぎによって筋肉や靭帯に疲労がたまると、腰を支える力が弱くなります。ちょっとした動きをした時でも上体をしっかり支えることができず、腰椎に大きな負荷がかかりやすい状態になります。
このように腰が弱くなっている時に、十分な準備運動をしないでスポーツを始めたり、ひざを曲げずに重い荷物を持ち上げるなど、腰に一度に大きな負荷や衝撃が加わったことがきっかけで、激痛を伴う様々な障害が発生します。

ぎっくり腰を発症しやすい動作

ぎっくり腰が起こるきっかけ

  • 重い物を持ち上げようとした時
  • 物を拾おうとしたり、顔を洗おうとして、前かがみになった時
  • くしゃみをした時
  • 勢いよく振り返ったり、勢いよくイスから立ち上がった時
  • 朝、布団から起き上がった時
  • 野球やゴルフのスイングをした時
こんな人も要注意

腰を酷使する人以外にも、腰を支える力の弱い人、常に腰に大きな負荷がかかる人はぎっくり腰を発症する可能性が高くなります。

  • 高齢者
    歳をとるほど組織が老化して腰が弱くなります
  • 肥満体の人
    余分な脂肪によって体重が増え、常に腰に大きな負荷がかかります
  • 痩せ過ぎの人
    ダイエット中の女性などは、運動不足や栄養不足によって筋肉・骨・靭帯といった組織が弱い傾向にあります
  • 冷え性の人
    腰が冷えて血行が悪くなると、筋肉の柔軟性が低下して腰を支える力が弱まります
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3.診断・治療・予防

◆診断

病院での診察・診断

ぎっくり腰は"動けなくなるほどの突発的な激痛"という特徴的な症状があるので、問診で症状を確認した時点でほぼ診断がつきます。
更に、どの組織に障害が起きているか調べるために、患部の腫れや熱感の有無、押したり叩いた時の痛みを確認したり、神経に異常があるかどうかを調べる「神経学的検査」、腰の内部画像を撮影する「画像診断」などを行います。

ただし、ぎっくり腰は激痛があっても筋肉や骨、椎間板などの組織に異常がない、もしくは画像では確認できないといったことがよくあるため、どこが悪いのかを断定するのは難しいケースも多くなります。ぎっくり腰のように、画像検査では異常が確認できず、原因がはっきりと特定できない腰痛を非特異的腰痛(腰痛症)といいます。

◆治療

急な激痛が起きた直後は、できるかぎり動かずに安静にするのが鉄則です。
痛みの少ない姿勢で休んでいれば痛みが和らいできますので、少なくとも一日は静かに寝ていましょう。
痛むほうを下にして横向きに寝て、膝を曲げ背中を少し丸めた姿勢が一番楽になります。仰向けに寝るなら膝を少し立てて、その下に座布団やクッションを入れて寝ます。ベッドや布団は硬めのものを使いましょう。全ての動作はゆっくりと行い、起き上がる時や歩く時は腰に負担がかからないよう壁などを支えにします。

腰に負担のかからない楽な寝方

若い人ならだいたい2〜4日、中高年でも一週間もすれば動けるくらいまで回復しますので、それまでは安静を保ち続けます。
動けるようになったら、多少痛みが残っていても歩いたり仕事をしたりして、徐々に通常の生活に戻っていくようにしましょう。ただし、重いものを持ったり、中腰や同じ姿勢で長時間の作業をするなど、腰痛を起こしやすい動作はしばらく避けます。

昔はぎっくり腰になったら完治するまでは大事をとって寝ているのが一番だと思われていました。しかし現在では、急性腰痛はある程度回復したら、無理のない範囲で普段どおりに生活したほうが治りが早いことが分かっています。安静にしすぎると回復を遅らせ、かえって状態を悪くしてしまうこともあります。特に高齢者の場合、寝たきりにつながる恐れもあるので過度の安静は禁物です。

痛みを和らげるには

冷やしたり温めたり

ぎっくり腰が起きてから2〜3日の痛みがつらい時期は、激しい炎症を鎮めるために冷たいタオルや冷シップなどで腰を冷やすと良いでしょう。
痛みが和らいできたら、今度は血行を良くして痛みを和らげるために、カイロや蒸しタオルを使って温めるようにします。温シップは成分によっては温め効果がまったく無かったり、皮膚がただれることもあるので注意が必要です。
痛み止めの薬も有効ですが、根本的な治療にはならないので短期間の服用にとどめましょう。

病院にはいつ行くべきか

痛みの激しい時期に無理して病院に行こうとすると症状を悪化させかねません。痛みが和らいで回復してきてから整形外科を受診しましょう。

ぎっくり腰は腰椎周辺の一時的な障害である場合が多く、大抵1〜2週間もすれば回復するため必ずしも病院に行く必要はありません。しかし中には治療が必要なケースもあります。特にぎっくり腰が初めての人は、動けるようになったら念のため受診しておくとよいでしょう。
また、「1〜2週間以上たっても症状が良くならない」、「痛みがひどくなる」、「どんな姿勢でも痛い」、「腰痛以外にも気になる体の異常や違和感がある」といった場合も、他の病気が原因となっていることがあるため必ず医師の診断を受けてください。

医療機関で行われる治療法は、個人で行う対策と基本的に一緒です。
薬で痛みを和らげる「薬物療法」、患部を温める「温熱療法」、コルセットなどで腰を保護する「装具療法」、腰痛に効果的な体操を行う「運動療法」などが行われます。
重度の腰椎椎間板ヘルニアや脊髄腫瘍が原因である場合は、手術が必要になることもあります。


ぎっくり腰がクセになっている場合

ぎっくり腰の患者のだいたい4人に1人は、回復した後も再発を繰り返す傾向があります。
こうした人は、骨や関節の変形が進んで腰が不安定になっているケースが多く見られます。椎間板がすり減って椎骨や椎間関節がズレているような状態です。こうした場合は、関節の動きを良くする腰痛体操、腹筋や背筋を強くするトレーニングなど運動療法を中心に行って腰を支える力を強くします。
腰の不安定さ以外にも、不安やストレス、鬱(うつ)などが原因で再発を繰り返す場合もあります(心因性腰痛章)。この場合は心の問題から先に解決する必要があります。


ぎっくり腰の前兆

ぎっくり腰は何の前触れもなく突然起こるといわれていますが、腰が疲労している状態から起こるケースが多いため、思い返すと何らかの腰の違和感が発生しているケースが結構あります。

  • 腰や背中に「筋肉のコリや張り」「重苦しさ」「鈍痛」などのいつもと違う違和感がある
  • 座ったり立ったりする時に腰に違和感を感じる

このような前兆が見られた時は、違和感がなくなるまでは腰を使う姿勢や動作を極力避けて安静にしましょう。腰痛に効果的な体操を行うのもオススメです。

4.ぎっくり腰データ

【受診科】

  • 整形外科

【ぎっくり腰の原因となる病気・障害】

  • 腰椎椎間板ヘルニア、骨粗しょう症、脊髄の腫瘍、尿路結石
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背骨前面
背骨(脊柱)画像(前後)

背骨側面
背骨(脊柱)の弯曲(横)
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